[写真]遺伝子組み換えコメが検出された中国産の米製品 遺伝子組み換えコメが検出された中国産の米製品
〜 Greenpeace/John Cobb

【アムステルダム、オランダ】 国際環境保護団体グリーンピース本部、グリーンピース・インターナショナルは、中国から欧州に輸入されている食品の中に違法に栽培された遺伝子組み換えコメの混入が検出され、フランス、ドイツ、イギリスで食品へ汚染が起きているとの調査結果を発表した。グリーンピースは、この違法に栽培された遺伝子組み換えコメは重大な健康被害をもたらす恐れがあるとし、欧州各国政府に対し消費者を守るための早急な対策をとるよう求めた。

グリーンピースの各国支部とイギリスのFriends of the Earthが、中国産の米麺(ビーフン)をはじめとするコメを原料とした加工食品の検査を行なったところ、5つのサンプルから世界のどこでも認可されていない遺伝子組み換えコメが検出された。中国産のコメはベビーフードからヨーグルトまであらゆる加工食品の原料として使われているため、今回の発見は氷山の一角にすぎない ( 注1 ) 。

「健康に害のある実験段階の遺伝子組み換えコメを、消費者が知らずに口にすることがあってはならない。緊急の対応が必要だ」と、グリーンピース・インターナショナルの遺伝子組み換えイネ問題担当ジェレミー・テイガーは語る。

害虫に対して毒性を持つよう遺伝子を組み換えたこの違法遺伝子組み換えコメには、Cry1Acタンパク質、あるいは、融合タンパク質が含まれており、実験ではこのタンパク質を摂取したマウスがアレルギーに似た反応を起こしたとの報告がある ( 注2 ) 。グリーンピース・インターナショナルによる今回の遺伝子組み換えコメの健康リスクに関する警告には、これを支持する声明が、遺伝子組み換え問題と健康分野の専門家であるノルウェーのベルゲン大学の生体臨床医学部プリム博士など、3人の科学者から発表されている ( 注3 ) 。

[写真]遺伝子組み換えコメが検出された中国産の米製品 遺伝子組み換えコメが検出された中国産の米加工品
〜 Greenpeace/John Cobb

グリーンピース・インターナショナルは、この遺伝子組み換えコメをただちに世界中から回収し、これ以上欧州に遺伝子組み換え汚染された米が輸入されないよう対策をとること、またすでに汚染被害の可能性が高い国々については、予防のための選別システムを即刻にも整備運用するよう求めている。遺伝子組み換え作物を栽培・生産している国々に対しては、「遺伝子組み換えでない」食品には認定証をつけるよう要求している。

今回発覚した中国産の遺伝子組み換えコメによる汚染は、試験栽培に端を発する。現在まで、安全性を疑問視する声が高いため、遺伝子組み換えイネの商業栽培は認められていない。2005年、グリーンピースが行った調査では、中国の研究機関や種苗企業が、認可されていない遺伝子組み換えイネの種子を農家に違法に販売していたことが判明した ( 注4 ) 。

「罪のない消費者がまたしても遺伝子組み換え企業による『汚染優先戦略』の被害にさらされている」とテイガーは言う。「中国で遺伝子組み換えイネの認可を急ぐ一部の悪質な研究者によって、市場に違法な種子が紛れ込み、深刻な遺伝子汚染を引き起こした」

グリーンピースは、持続可能性や生物多様性を守る食品を提供するという原則にもとづき、遺伝子組み換えでない作物や食品を推進する取り組みを各国で行っている。日本でも、グリーンピース・ジャパンが、遺伝子組み換え食品を消費者が避けられるようにするガイドブック『トゥルーフード・ガイド』を9月29日に発行し、遺伝子組み換え問題キャンペーンを開始する。


注1
試験は独立した公認第三者機関によるものである。詳細は、背景説明レポート「 Illegal experimental GE Rice from China: Now Entering Europe’s Food chain 」(英文)を参照のこと。


注2
詳細は、学術論文「 Mereno-Fierros,L.et al 」(2000)(英文) をご参照ください。


注3
科学者による声明の詳細は こちら をご覧ください。


注4
この調査の結果、流通食品全体が汚染されており、汚染されたハインツ社シリアル(コメを原料とする)製品が、北京、広州、香港で見つかった。中国政府はこれを受けて、種苗企業を罰し、違法に栽培されていた遺伝子組み換えイネを廃棄したと伝えられている。


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広報担当  城川桂子