Mcvictory i’m lovin’ Amazon
〜 Greenpeace

【サンパウロ ブラジル】 米国穀物商社大手カーギル社をはじめとするブラジル産大豆の取引業者は、24日、声明を発表し、アマゾンで新規に森林転換して生産される大豆の購入の2年間停止(モラトリアム)に合意した。

今回の声明の背景には、国際環境保護団体グリーンピースと世界食品小売業大手のマクドナルド社などからカーギル社をはじめとする大豆取引業者に対して続けられた強い働きかけがある。大豆取引のアマゾンへ与える影響に関してグリーンピースが過去3年にわたって行った調査 ( 注1 ) を受け、マクドナルド社や他のヨーロッパの食品小売業者がグリーンピースと協力し、大豆取引業者にアマゾンの森林破壊を停止するよう要求していた。その結果、ブラジルの大豆取引の大部分を占める米国の穀物商社大手のカーギル社(Cargill)、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM:Archer Daniels Midland)社、バンジ(Bunge)社、フランス系企業ドレフェス(Dreyfus)社、ブラジル系企業アマッジ(Amaggi)社が、ブラジルの他の大豆取引業者とともに交渉のテーブルにつき、今回の合意に至った。

グリーンピースとそれら食品小売業者は、カーギル社などの大豆取引業者に対し、森林破壊の停止、ガバナンス強化、生物の重要な生息地の保護、先住民族や伝統的な生活を行う地域の人々の土地所有権の保障措置に努めるブラジル政府の支援などを提案。大豆取引業者はこの提案について話し合いを重ねていた。

今回合意された2年間という限られた期間のモラトリアムは問題解決に向けた大きな一歩である一方、アマゾンの森林保護に向けた行動が実際に行われない限り、形だけの意思表示にすぎない。グリーンピースは、合法性やガバナンス対する適切な措置が取られるまでモラトリアムが継続されることを今後も求めていき、ブラジル政府や利害関係者との間で、アマゾンの熱帯雨林の長期間にわたる保護に向けた合意を求めていく、としている。今回の合意内容を具体的な活動計画として実施に移すため、大豆取引業者、生産者、NGO、政府によって構成されるワーキング・グループが設置されることになっている。

大豆はブラジルで重要な換金作物。大豆栽培はその多くが違法に行われ、違法伐採や牧草地転換と同様に、アマゾン熱帯雨林破壊の主要因のひとつである。現地では違法な森林の皆伐をめぐり暴力をともなう衝突が絶えない。生産される大豆の多くは、食用の鶏、豚、牛などの飼育用飼料としてヨーロッパの市場を中心に輸出されている。

「大豆生産用のアマゾンの森林破壊に直接関わる食品小売業者が、大豆取引業者との話し合いを進めたことは大きい。今度は大豆取引業者がアマゾンの森林破壊を止めるために実際に行動を起こす番だ」と、グリーンピース・インターナショナル事務局長ゲルト・ライポルトは語る。欧州マクドナルド社長デニス・へネキン氏は、「わたしたちはアマゾンの森林破壊地域で生産された牛肉を調達しない方針を堅持している。この方針にしたがい、今回の大豆生産に関わる問題も同様に対処した。アマゾンの森林をさらなる破壊から守るために、大豆供給者とブラジル政府と共に正しい行動をとる決意である」と語る。

アマゾンは地球上でもっとも生物多様性の高い地域であると同時に地域の気候調整を行う役割を担い、また多くの人々の生活を支えている。しかしこの貴重な森林では大豆などの作物生産のために想像を絶する規模の森林破壊が進み、この10年間で毎分サッカー場5つ分の面積の森林が破壊されている。

熱帯雨林保護への行動を呼びかけている食品小売業者は、ブラジルの大豆供給者に対し遺伝子組み換えでない大豆の供給を求めていくことも宣言している。


注1
グリーンピース調査レポート“ Eating up the Amazon(英文)”2006年4月発行 (PDFファイル : 7MB)


グリーンピース・インターナショナル アマゾンキャンペーンウェブサイト(英語)


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