[写真] 〜 Greenpeace/Naomi Toyoda

太平洋・島サミットが閉幕した本日早朝、国際環境保護団体グリーンピースは、サミット参加国首脳が滞在する沖縄県名護市のホテルから見渡せる砂浜に「違法伐採木材輸入をとめて」と書かれた幅30メートル、縦15メートルの巨大な横断幕を広げた ( 注1 ) 。これは、サミット参加者に対し、太平洋地域の深刻な環境問題である違法伐採に対する参加国の具体的な取り組みを要求したもの。

閉幕に当たって発表された首脳宣言では違法伐採問題対策への言及はされず、小泉首相の挨拶で、「森林伐採問題の解決に向けて専門家を派遣する」と言及されるに留まった。

「小泉首相自らが、森林問題対策に触れたのは評価できるが、具体的な解決策として取るべきは違法伐採木材の輸出入規制であることを認めるべきだ」と、グリーンピース・ジャパン森林問題担当の尾崎由嘉は語る。「パプアニューギニアのソマレ首相も、自国の最大の環境問題が違法伐採であることを認め、その取締りを強化すべき」と、尾崎由嘉は語る。

[写真] 〜 Greenpeace

パプアニューギニアの森林の60%はすでに伐採により消失し、残る森林は伐採企業による違法伐採の危険に晒されている。パプアニューギニアで行われている伐採は90%が違法伐採。サミット参加国であるフィージー諸島の原生林はすでに消失。ヴァヌアツに残る原生林は10%以下である。

本年度のゴールドマン環境賞受賞者でパプアニューギニア出身の弁護士アン・カジール氏は、サミット開催中、グリーンピースと共に沖縄県名護市のサミット会場近くに滞在し、パプアニューギニアで横行する違法伐採による環境破壊と人権侵害の実態を参加国首脳に直接、訴えた。

「私の国の人々と森林は違法伐採によって破壊されている。太平洋地域の環境問題解決を掲げるこのサミット参加国の首脳たちがパプアニューギニアの違法伐採対策を具体的に打ち出さなかったことは大変残念だ」と、カジール氏は語る。「汚職と人権侵害が蔓延している私の国では、違法伐採への対策が遅れている。今回のような国際的な会議での対策が合意されない限り、世界的に貴重な森林は破壊され続ける」と不安を隠しきれない。

昨日、グリーンピースはサミット参加国首脳の滞在するホテルでアン・カジール氏のゴールドマン環境賞受賞を記念してレセプションを開催。カジール氏がパプアニューギニアの違法伐採の実態を語り、最近パプアニューギニアで撮影された違法伐採から森林を守る人々や彼らの土地の画定作業の映像などが上映されたほか、3000人以上の人々から画定作業を支援するリボンが送られていることなどが披露された。

違法伐採業者による人権侵害や女性への性差別的迫害の実態の理解を求めるため、カジール氏は日本滞在中に小池環境大臣との面会を要請していたが、叶わなかった。

先月行ったグリーンピース・ジャパンの調査で、日本の消費者の約80%が違法に伐採された木材の輸入を望んでいないことが明らかになったが、同時に、違法な木材が日本の市場に流通している事実を知らない人が90%以上に及ぶことも明らかになっている ( 注2 ) 。グリーンピース・ジャパンは政府に違法伐採輸入の取り締まり強化を訴えるほか、消費者に身近な木材製品が違法伐採の木材であるかも知れない事実を伝えていくことにしている。

(注1)
写真はこちらからダウンロードできます。
http://www.greenpeace.or.jp/multimedia/files/photo/forests/okinawa2006

(注2)
「輸入木材に関する生活者意識調査」はこちらをご覧ください。 http://www.greenpeace.or.jp/campaign/forests/documents/doc060424.pdf

グリーンピース・ジャパン「パラダイスフォレスト 救おう!原生林の未来を」ウェブサイトをご覧ください。

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森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当 城川桂子