環境問題のノーベル賞といわれるゴールドマン環境賞の本年度受賞者のひとり、パプアニューギニアのアン・カジール氏が本日、東京で記者会見を開き、太平洋・島サミットの共同議長である小泉首相とパプアニューギニアのソマレ首相に対し、違法伐採の対策と、パプアニューギニアなどで違法に伐採された木材の輸出入の取締りを同サミットで話し合うよう訴えた。太平洋・島サミットは5月26日と27日の2日間、沖縄県名護市で開かれる。

パプアニューギニアで横行する違法伐採の問題は数多く報告されており、日本は同国産木材の世界第2の輸入国。 日本、パプアニューギニアをはじめとする太平洋の島嶼国14カ国の首脳が参加する太平洋・島サミットではアジア太平洋地域の環境問題を議題の一つに掲げているが、第4回の今会議まで違法伐採による森林破壊問題は議題に上がっていない。

「違法伐採と違法伐採木材取引がいかにパプアニューギニアの森林と森林に依存する先住民族の生活を破壊しているか、両国政府首脳に理解してもらうために日本に来ました」とアン・カジール氏は語る。「パプアニューギニアで違法伐採が阻止されるまで、日本をはじめとする輸入国はパプアニューギニアで違法に産出される木材製品の輸入取締りを徹底すべきだ」と、カジール氏。

カジール氏は、パプアニューギニアの環境保護法律家センター(ELC)の幹事を務める弁護士。横行する違法伐採を事実上許している同国政府内に蔓延する汚職と、政府の違法伐採の共犯の証拠を明らかにするなど、法廷での環境保護の活動に対し、本年度のゴールドマン環境賞が与えられた。

[写真]アン・カジールさん 会見するアン・カジールさん(中央)森林問題担当尾崎由嘉(左) 〜 Greenpeace/Naomi Toyoda

日本政府は、2000年のG8沖縄サミットで違法伐採対策への取り組みを宣言したが、パプアニューギニアで違法に産出された木材輸入を放置するなど具体的な対策を立てていない。グリーンピース・ジャパンは2005年12月8日、パプアニューギニアで違法伐採された木材が香川県旧詫間町の詫間港に陸揚げされているのを発見し、グリーンピース・ジャパン森林問題担当の尾崎由嘉が 税関と林野庁に通報した。

「私達の家の内装材や、商品運搬に使われる木製パレットなどが、地球上に残された最後の熱帯雨林から盗まれた木材で作られている可能性があることを私達は認識すべきだ」と、尾崎由嘉は話す。「日本政府はサミット主催国として今回のサミットで違法に伐採された木材の輸入措置を具体化すべき」と、尾崎由嘉は訴える。

パプアニューギニア、ウェスタン州、マーレー湖付近では、土地所有者の伝統的な所有権を伐採業者から守る土地の画定作業の支援や、生態系に配慮した森林管理を地元の土地所有者とともにグリーンピースは活動し、大規模伐採の代替案として推進している。この画定作業には日本をはじめとする世界各国からのボランティアが参加し、また、画定作業に必要なリボンを日本から送って支援の意を表すというグリーンピース・ジャパンの呼びかけに、本日までに、3000人以上が応えている。またグリーンピース・ジャパンが国内で行った世論調査では80%以上が「違法伐採された木材は輸入すべきでない」と 回答している。

カジール氏とグリーンピースのスタッフは5月25日に沖縄入りし、翌26日にはサミット会場近くのブセナ・テラス・ホテルでカジール氏のゴールドマン環境受賞のレセプションを開く。レセプションにはサミット参加各国首脳にグリーンピースから招待状が送られており、カジール氏はパプアニューギニアの森林を守ろうとする先住民族の女性達への迫害の事実を訴えたいと小池環境大臣との面会を強く求めている。

グリーンピース・ジャパン「パラダイスフォレスト 救おう!原生林の未来を」ウェブサイトをご覧ください。

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森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当 城川桂子