環境保護分野のノーベル賞と呼ばれるゴールドマン環境賞の2006年度受賞者が本日発表され、パプアニューギニア先住民族の人権と土地所有権を擁護してきた女性弁護士、アン・カジールさん(32歳)の受賞が明らかになった。

アン・カジールさんはパプアニューギニア出身。パプアニューギニアではマレーシア系企業による違法伐採が横行し、60%以上の原生林が破壊され、原生林に依存して暮らす先住民族の基本的人権が侵されている。カジールさんは、パプアニューギニア最高裁で伐採企業の違法性を告発し、先住民族の権利と訴えを勝訴に導き、現地の原生林を保護する活動をしている。今回こうしたカジールさんの活動がゴールドマン環境賞選考委員会に評価されたもの。

ゴールドマン環境賞は国際的な草の根の環境活動家に対し、アースデイの日に贈られる ( 注1 ) もので、1990年に始まり、今回で17回目。これまでに「グリーンベルト運動」の創始者であるケニアのワンガリ・マータイさん(1991年)や、フィリピンのごみ焼却を禁止する環境保護法の制定に貢献したグリーンピースの有害物質問題担当ヴォン・ヘルナンデス(2003年)などが 受賞 している。毎年6人の世界の環境保護活動家に与えられる。

カジールさんは、国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンの招待で、5月23日から日本への訪問が決定している。訪日中、沖縄を訪れ、5月26日と27日に同地で開かれる第4回太平洋・島サミットの議長であるパプアニューギニアの首相と、日本の小泉首相、および参加各国首脳に対し、パプアニューギニアの原生林と先住民族の人権を守るよう訴える予定。また、女性の人権侵害と環境破壊が行われているパプアニューギニアの実態について小池環境大臣との面会を強く求めており、パプアニューギニアの現状の改善への理解と協力を要請していくことにしている。

[写真]アン・カジールさん ワークショップを行うアンさん : パプアニューギニア・ウェスタン州 〜 Will Parrinello

「パプアニューギニアで違法に伐採された木材は約90%が輸出され、日本への輸出量は中国に次いで2番目に大きい。小泉首相や小池環境大臣は、カジールさんから直接パプアニューギニアの森林破壊の実態を聞き、来日予定のパプアニューギニア首相と具体的に違法伐採対策の方法について協議すべき」と、グリーンピース・ジャパン森林問題担当の尾崎由嘉は語る。

今回のゴールドマン環境賞受賞者は、カジールさんのほかに、ブラジル、アマゾンの熱帯雨林を違法伐採による破壊から守ろうとアマゾン北部で活動しているタルシシオ・フェイトサ・ダ・シルバさん(35歳)や、リベリア、中国、ウクライナ、アメリカの草の根の環境保護活動家たち6人。受賞式はサンフランシスコとワシントンDCで行われる。


注1
1990年リチャード・ゴールドマン、ローダ・ゴールドマン夫妻によって始められたもの。 アフリカ、アジア、島嶼国、ヨーロッパ、南北アメリカの6地域から環境問題解決に貢献した草の根の活動家に授与される。賞金は125,000 ドル。本部はアメリカ、サンフランシスコ。
http://www.goldmanprize.org/
アン・カジールさんの紹介(ゴールドマン環境賞)


グリーンピース・ジャパン 「パラダイスフォレスト ~救おう!原生林の未来を~」サイト


お問い合わせ
特定非営利活動法人 グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話03-5338-9800
FAX 03-5338-9817
森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当 城川桂子