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木材運搬船の前で横断幕を張るグリーンピースのゴムボート 〜 Greenpeace/Sewell 2006

【インドネシア、パプア、ソロン】 4月11日、インドネシア最東端のパプア、ソロン港で、違法伐採された木材から生産された合板が、日本などへ向かう運搬船に積載されていることが国際環境保護団体グリーンピースにより明らかになった。グリーンピースのキャンペーン船「虹の戦士号」が、インドネシアの伐採企業「カユ・ラピス・インドネシア」社製の合板を積載中の運搬船アルディアント(Ardhianto)号をパプアのソロン港で発見。合板はインドネシアの原生林から違法に伐採された木材から作られたものなので、積み出しを止め、インドネシアの原生林を守るよう訴えた。同社は伐採権の許可されていない地域で伐採された原木を加工し、合板として日本などへ輸出していることがグリーンピースの現地調査によって明らかになっている。

インドネシアで行われている伐採のうち76%は違法伐採であると言われている。グリーンピースは、インドネシア、パプア地域の違法伐採の実態調査を行い、「カユ・ラピス・インドネシア」社の子会社、ヘンリンソン・イリアナ(Henrinson Iriana)社の工場で過去数年、伐採権のない山林から調達された可能性の高い原木が供給されていることを突き止めた。アルディアント号は「カユ・ラピス・インドネシア」社の子会社ヘンリンソン・イリアナ社の工場で生産された約6000立方メートルの合板を積載している。輸出先は日本のサン建材株式会社(双日グループ)とトーヨーマテリア株式会社の2社。グリーンピースは、これら日本の輸出先を含めた実態調査を「 森林破壊の犯罪 クライムファイルII 」として発表した。

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木材運搬船の前で横断幕を張るグリーンピースのゴムボート 〜 Greenpeace/Sewell 2006

「森林破壊の犯罪 クライムファイルII」によれば、木材産出元の合法性が疑わしく産地特定ができないような木材供給業社からは、2002年には53%、2003年には74%、2004年には70%の木材が供給されている。グリーンピースはこの工場に入る原木の伐採の合法性を示す証拠と、原生林地域からのものでないことを証明するため個々の原木がどこで伐採されたかを示す資料を要求している。「カユ・ラピス・インドネシア」社からの回答は未だ得られていない。また、日本では、商社である双日株式会社(旧日商岩井とニチメンの合併会社)を通じてサン建材株式会社トーヨーマテリア株式会社が「カユ・ラピス・インドネシア」社からの主要な購入先となり、フローリング材等の形で国内販売していることを「森林破壊の犯罪 クライムファイルII」は明らかにしている。「カユ・ラピス・インドネシア」社が生産する合板の主な輸出先は日本と米国で、同社の製品には富士山を施したロゴが使用され、日本市場との深い関係を示している。

「インドネシアの森林破壊は、世界でもっとも速い速度で進んでいる。違法伐採された木材の取り引きを放置すれば、インドネシアの原生林の全てが20年以内に消失する」と、グリーンピース・ジャパン森林問題担当の尾崎由嘉は語る。「日本政府は、違法伐採された木材の輸入を禁じ、実態を把握して措置を取ることが急務である」と尾崎由嘉は続ける。

グリーンピースの「虹の戦士号」は、東南アジアのインドネシア諸島から太平洋のパプアニューギニアやソロモン諸島にかけて広がるアジア太平洋の森「パラダイスフォレスト」と呼ばれる原生林の危機を訴えるキャンペーンの一環として、3月よりインドネシアのパプア地域沿岸の森林をパトロール航海中。同地域の違法伐採の現場を目撃し、記録して世界に発信している。また、地元共同体に生態系を保護する代替案(エコフォレストリーなど)を提示している。

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運搬船に積まれた合板 〜 Greenpeace/Sewell 2006

グリーンピース・ジャパンは昨年12月にも香川県詫間港で、パプアニューギニアで違法伐採された木材が日本に輸入され流通していることを発見。林野庁に通報し、取り締まりを求めている。


「森林破壊の犯罪 クライムファイルII」(PDFファイル 2016KB)


プレスリリース「パプアニューギニアで違法伐採された原木を香川県詫間港で発見」(2005/12/8)

グリーンピース・ジャパン 「パラダイスフォレスト ~救おう!原生林の未来を~」サイト


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森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当 城川桂子