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ロウソクを灯し犠牲者を追悼 〜 Greenpeace

農村をひとのみにし、2000人近い死者を出したとされるフィリピン南レイテ州(レイテ島)の地滑りから20日間が過ぎようとしている昨夜、首都マニラで違法伐採が原因の災害や事故の犠牲者をロウソクを灯して偲ぶキャンドルナイトが行われた。「命のための集い~違法伐採のもたらす災害の犠牲者を追悼する」と題したこの催しは国際環境保護団体グリーンピースが呼びかけたもの。グリーンピースは今回顕在化した違法伐採が原因のレイテ島での惨劇はこれまでにもアジア太平洋地域で多発しているとし、その犠牲者を追悼した。このキャンドルナイトは本日開始された「森林法の施行とガンバナンスに関する(通称FLEG)東アジア会議」前夜に行われたもので、グリーンピースは同会議参加国政府に対し、こうした惨劇を繰り返さないよう訴えるとともに、アジア太平洋地域の森林の違法伐採、特にパプアニューギニアで急速に進む違法伐採への対策を取るよう強く要請している。

「FLEG東アジア会議」は、木材取引きに関わる政府どうしが国際的に協力して、森林破壊問題の解決への取り組みを実施していくための協議を行う会議。特に、違法伐採とその取引き、および伐採事業に関わる汚職の根絶を目指し、世界にわずかに残る森林の保護および持続可能な利用の促進を求めていく各国間交渉の場である。2001年にインドネシア、バリで開催された同会議での閣僚宣言では、東アジア地域の各国が共に違法伐採と関連取引きを止めていくことを強調している。しかし、日本を含めて同宣言に署名した各国では現在までこの宣言が実行されていないのが実状。

「違法伐採問題の深刻さを認識していると言う日本政府が、木材生産国と消費国が違法伐採と取引きに関して話し合うこの会議に参加しないのは、真剣に対策に取り組む姿勢のなさを示している」と6日からマニラに入り会議に参加しているグリーンピース・ジャパン森林問題担当の尾崎由嘉は日本政府の違法伐採問題に関する取り組みを批判した。

80%を輸入木材に頼っている日本では、未だに具体的な違法伐採対策が行われていない。昨年12月、グリーンピース・ジャパンがパプアニューギニアで違法伐採された木材が香川県詫間港で検閲されることなく輸入され流通していること発見し、林野庁に通告、取り締まりを求めた。それに対し「違法伐採が持続可能な森林経営を阻害していることは大きな問題であるので、国際的な話し合いの場で解決していきたい」と答えていた。しかしながら日本政府からこの会議への出席はない。また4月から施行されるグリーン購入法の調達ガイドライン案は、木材調達に当たって、先住民族の権利への配慮の必要性が明確にされておらず、企業などが作った(客観性の乏しい)基準でも違法性・持続可能性を証明できるなどとしており、違法伐採された木材を排除するには十分なものではない。

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パプアニューギニアで伐採された木材 〜 Greenpeace/Solness

東南アジアのインドネシア諸島から太平洋のフィリピン、パプアニューギニア、ソロモン諸島へと広がるアジア太平洋に残された原生林は「パラダイス・フォレスト(楽園の森)」と呼ばれる生態系の豊かな地域であるが、現在、地球上で最も深刻な速度で伐採が進んでいる地域でもある。インドネシアでは72%、パプアニューギニアでは60%の原生林、フィリピンではすべての森林の80%がすでに破壊されている。

「消費国である日本が4月から開始する木材調達に関するグリーン購入法に加え、早急に輸入措置の面から対策を取らなければ、この多様な生態系は永遠に地球上から失われることになるだろう」と尾崎由嘉は語っている。

グリーンピースは同会議の開始に当たり「CHAINS OF DESTRUCTION(破壊の連鎖)」と題したアジア太平洋地域で行われている違法伐採の実態を示したレポートを発表した。日本語訳は3月20日に発表される予定。

プレスリリース「違法伐採された木材の輸入規制を!” 」(2005/12/12)

プレスリリース「木材消費国は違法伐採排除のための輸入規制を!」(2005/11/30)

グリーンピース・ジャパン パラダイスフォレストキャンペーン


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森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当 城川桂子