[写真] 〜 Greenpeace/Jeremy Sutton-Hibbert

国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、本日午後6時、青森県庁本館の壁一面に「放射能汚染、立入禁止」の文字と放射能マークが入った貼り紙の映像を投影した。これは、明日22日午前10時半から同庁舎内で開かれる青森県議会の全員協議会で討議される六ヶ所再処理工場のアクティブ試験安全協定素案に問題があり、これが事実上の放射能汚染の始まりであるとして、この全員協議会に文字通り放射能汚染への〜T立入禁止″を通告するもの。

グリーンピースは、これまでに再処理工場から放出される放射能は周辺の環境中に吸収され蓄積する事実を、英仏の再処理工場周辺で行った環境サンプリング調査をもとに青森県に繰り返し示している。明日審議される予定のアクティブ試験安全協定書素案には以下のような問題点があるとグリーンピースは考える。

放出され続ける放射能が蓄積されていくことを考慮していない。

放出される放射能が空気や海流によって希釈されることを前提としており、廃液そのものの濃度の規制などが明確ではない。

日本原燃の提示する「年間被曝量0.022シーベルト(放射線量の単位)以下」という数字は、放射性物質のひとつであるヨウ素129の海洋放出量が、英仏の再処理工場の実績に比べて低く予測されており、食物の放射能汚染から人間が被ばくする量なども充分に考慮されていない。したがって、青森県はこの数字を安全性の根拠として説明するべきではない。

「現行の安全協定素案では青森の豊かな環境を放射能による汚染から守ることは出来ない。この案に賛成することは青森県の放射能汚染を承認することを意味する。青森県議会と県知事は、不名誉な放射能汚染の承認者としての名前を残すのではなく、アクティブ試験の開始を見送ることによって青森県を放射能汚染から守るべき」とグリーンピース・ジャパン核問題担当野川温子は語った。

[写真] 〜 Greenpeace/Jeremy Sutton-Hibbert

投影された貼り紙には、巨大な放射能マークと「放射能汚染、立入禁止」の文字がデザインされている。「安全協定案は認めないで下さい」と書かれた張り紙と、放射能マークとリサイクルマークをデザインし「STOP再処理」のメッセージの入ったロゴも同時に投影された。後者は電力会社の言う「リサイクル」はそもそも「リサイクルではない」ことを示すほか、放射能は消えないどころか、周辺へ撒き散らかされることを表している。

再処理工場で生産されるプルトニウムはプルサーマルでの使用を前提としているが、周辺の住民の強い反対で玄海原子力発電所でのプルサーマル計画は先の見通しが立たなくなり、他のプルサーマル計画も進んでいない。こうした状況において、六ヶ所再処理工場から生産されるプルトニウムの用途がないのは明らかである。一方で、非核保有国である日本のプルトニウム蓄積量が増えることに対しては、核拡散に繋がるとしての海外からの懸念が高まってきている。

「残念ながら日本政府の核不拡散への姿勢は曖昧で、この姿勢がイランに核開発の言い訳を与えてしまいかねないなど、国際的に核拡散への懸念を増殖させている。青森県議会がプルトニウムを生産する再処理は行わないという決断をすることが、六ヶ所再処理工場の国際社会に対する唯一の貢献策だ。」と、野川温子は語った。

グリーンピース・ジャパンの星川事務局長ら4名は、同日午後、青森県庁を訪れ、青森県知事と県議会議員全員に安全協定素案を締結しないよう要請している。


要請書(PDFファイル)
青森県知事宛て(30KB) 青森県議会議長宛て(25KB)

[写真] 〜 Greenpeace/Jeremy Sutton-Hibbert


こちら から高解像度画像をダウンロードできます。








お問い合わせ
特定非営利活動法人 グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話03-5338-9800
FAX 03-5338-9817
核問題担当 野川温子
広報担当 城川桂子