[写真]トロール船で獲られた魚 シエラレオネ沖(2001年)
トロール船で獲られた魚 シエラレオネ沖(2001年) 〜 Greenpeace/Davison

昨年11月末より、海洋の環境保護を訴える「100万人の大航海~豊かな海を引き継ぐために」を開始した国際環境保護団体グリーンピースは、最初の訪問先である南極海での航海を終え、現在、ケープタウン(南アフリカ)で、次の目的海域アフリカ西海岸へ向かう準備を進めている。

アフリカ西海岸は、違法漁業の横行が常態化している海域。この海域で行われている漁業のほとんどが世界各地への輸出目的で行われており、無制限な捕獲が長年続いた結果、沿岸各国の捕獲総量は年々減少している。また魚の再生産能力への配慮がなく、獲れなくなるまで徹底して捕獲してしまうため、将来にわたって回復の余地がないほど魚が激減し、種によっては絶滅する恐れがあると言われている。同海域には、海洋生物の保護法や違法漁業取り締まりの(国際的な)法的規制が必須である。グリーンピースは同海域に滞在し、違法漁業・過剰捕獲の実態を調査・記録して世界に発信していく予定である。

最初の訪問先の南極海では、グリーンピースはクジラ保護区における日本の捕鯨船団による捕鯨に対し、キャンペーン船「エスペランサ号」と「アークティック・サンライズ号」で約2カ月間にわたって抗議活動を展開した。同時に、日本では捕鯨船団を所有している共同船舶(株)の主要株主である日本水産株式会社(ニッスイ)に対して、グローバル企業の社会的責任として南極海のクジラ保護区で行われている捕鯨への関与を止めるよう訴えを開始した。また、米国、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパなどでは、ニッスイ関連会社であるゴートンズ社(Gorton’s) ( 注1 ) やシーロード社(Sealord) ( 注2 ) に対して同様の呼びかけが行われた。グリーンピースは今後もこれらの企業に対して調査捕鯨中止や南極海の生態系の重要さを訴えていく。

[写真]トロール漁船 シエラレオネ沖(2001年)
トロール漁船 シエラレオネ沖(2001年) 〜 Greenpeace/Davison

「私たち日本人は毎日のように魚を食べているが、一体どこでどのように獲られているかをあまり考えていない。持続可能な漁業を世界的に推進するためには、このような違法漁業はまず取り締まられなければならない」と、グリーンピース・ジャパン海洋生態系問題担当の高名瑞は語り、「『100万人の大航海』が伝える事実は、日本人として知っておかなければいけない重要な海の現実である」と結んだ。

「100万人の大航海~豊かな海を引き継ぐために」開始と同時に、グリーンピースはネット上で世界の人々に「オーシャン・ディフェンダー(海を守る人)」になって海を守るために行動しようと呼び掛けも開始した。「オーシャン・ディフェンダー」登録者は無料のメールマガジンが届き、インターネット上でグリーンピースの活動に参加することができる仕組みになっている。なお、グリーンピースの「100万人の大航海」は今年いっぱい続けられる予定である。


注1
ゴートンズ社

注2
シーロード社

詳しくは「 南極海での捕鯨の現実を知ってください~南極海のクジラ保護区から~ 」をご覧ください。


お問い合わせ
特定非営利活動法人 グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話03-5338-9800
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海洋生態系問題担当 高名瑞(在東京)03-5338-9800
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