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原木を調査するグリーンピーススタッフ 〜Greenpeace/Naomi Toyoda
パプアニューギニアの原生林から違法に伐採された木材の日本への輸入状況を調査中の国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、本日、香川県詫間町の詫間港に荷下しされ保管されている輸入木材の中から、パプアニューギニアの原生林を違法伐採した原木数十本を確認し、林野庁と坂出税関支署詫間出張所に通報した。これらの木材は、詫間港をはじめとして、恒常的に日本に輸入されているとみられている。

詫間港の貯木場に保管されている原木の中に、パプアニューギニアの原生林から違法で破壊的に伐採された原木を発見したのは、グリーンピース・ジャパンの招待で来日し調査に同行しているパプアニューギニアとインドネシアの住民など3人。彼らはパプアニューギニアで違法行為が行われている地域の状況に詳しい。これら数十本以上の原木は、詫間港の貯木場から国内各地へと流通するもので、これらが違法伐採されたものであるかどうかを調べるシステムは世界の主要な木材消費国である日本には確立していない。グリーンピースは、「原産地およびその森林管理状況を確認すること」を求める文書を原木に貼って、取締りの必要を訴えた。

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〜Greenpeace/Naomi Toyoda 「土地所有者の意思に反して伐採が行われている地域からの木材が日本の港に来ている。日本の人たちがこうした木材を購入し続けるとパプアニューギニアでの違法伐採は止まらない」と、パプアニューギニアから来日しているブライアン・バーリンは語った。「輸入する前にどの地域でどのように伐採されたものであるかを知って欲しい」と、続けた。
パプアニューギニアには厳しい林業規定が定められており、伐採事業者に持続可能な森林経営や地元の土地所有者の「インフォームド・コンセント(充分な情報に基づく合意)」を得て行うことが義務付けられている ( 注1 ) 。しかし、多くの伐採事業はこれらに違反して行われており、特に、同国の木材輸出事業50%以上を占めるマレーシア系伐採企業リンブナンヒジャウ社は、ウェスタン州ワオイ・グアビなどで現地の森林法を犯す違法伐採を行っているだけでなく、「インフォームド・コンセント」を軽視するばかりか、伐採反対の声をあげる住民への人権侵害に関わっている ( 注1 ) ことが報告されている。また、バニモ地域で伐採するマレーシア系伐採企業WTK社は、パプアニューギニアの森林法に準じておらず、大規模な森林と川を破壊していることが報告されている。 ( 注2 )

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貯木池にもパプアニューギニアからの木材が見つかった。 〜Greenpeace/Naomi Toyoda
「この詫間港のケースは氷山の一角。日本が輸入している木材は、世界各地の原生林破壊に関わっている。日本政府は、違法伐採を阻止するために輸入現場で違法伐採された木材の輸入規制を実施する必要がある。」と、グリーンピース・ジャパンの森林問題担当尾崎由嘉は語った。

日本政府は2000年のG8サミットで、こうした海外で横行している違法伐採の問題の解決に取り組むとしたが、その木材輸入、取引において何の対策も取られていないのが実情。日本に輸入される南洋材の90%以上は、日本で合板生産のために消費されている。これらの木材は、主に津田産業株式会社、日本製紙木材株式会社などによって取引され、国内に販売されていることが、グリーンピースの調べで明らかになっている。

グリーンピースは、日本を始めとする木材消費国政府に対し、違法伐採された木材・木製品の輸入を取り締まる規制を導入し、環境的にも社会的にも責任ある森林経営を支援するよう求めてきている ( 注3 ) 。 先月フィリピンで開催された「森林法の施行に関する東アジア会議」のワークショップには、17カ国以上の政府関係者が参加し、違法伐採に関連する取引や汚職を一掃するために、木材輸入国の税関関係者が担うべき役割などが話し合われた ( 注4 ) 。

グリーンピースと調査に同行した学生は12月12日、環境省と林野庁を訪れて輸入木材の規制の導入を要請する予定である。


(注1)
グリーンピース調査レポート「 森林破壊の連鎖 パプアニューギニアの原生林破壊に関わる日本市場 」参照

(注2)
WTK社の違法行為に関する参考資料: PNG Department of Planning and Monitoring (2004),
FINAL INDIVIDUAL PROJECT REVIEW REPORT No 13 Vanimo 10-08, including reports by the PNG Department For Community Development and Department of Labour and Industrial Relations.

(注3)
グリーピースの提言: ” Priorities for the East Asia Forest Law Enforcement and Governance Process ” (英文 PDFファイル : 27KB)

(注4)
「税関および森林法の施行に関するワークショップ( The Customs and Law Enforcement Workshop )」は、2005年11月28日から30日にフィリピン、セブ市にて開催され、税関と森林法に関する専門担当者とNGOなどが参加した。
詳細は こちら



関連URL
“パラダイスフォレスト”キャンペーンサイト
調査レポート「森林破壊の連鎖I, II, III」 
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森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当     城川桂子