[写真]
パプアニューギニアで伐採された木材。アジア太平洋地域では違法伐採によって貴重な原生林が破壊され続けている。 〜Greenpeace/Campbell
【マニラ、フィリピン】 国際環境保護団体グリーンピースは、本日、フィリピン、セブ市で開催されている「森林法の施行に関する東アジア会議(East Asia Forest Law Enforcement and Governance:FLEG ( 注1 ) の地域会議)」のワークショップ ( 注2 ) で、違法伐採された木材の取り引きを停止するよう参加国政府に訴えた。グリーンピースは、各国政府は税関手続きと森林法を改善する必要があり、特に日本を含む木材消費国は違法伐採された木材・木製品の輸入規制を早急に行なうことが必要であるとしている。
11月28日から始まった同ワークショップには17カ国を超えるアジア太平洋諸国から80人近くの税関および森林法に関わる政府関係者や国際NGOなどが参加した。

「このワークショップは、アジア太平洋における違法伐採およびその取り引きを停止するための一歩である」と、この会議に参加しているグリーンピース・ジャパン森林問題担当尾崎由嘉は語っている。「違法伐採された木材の取り引きは、パプアニューギニア、インドネシアなどこの地域に残された原生林への最大の脅威だ。アジア太平洋地域の各国政府が協力し合い、取り引きに関る情報入手とその透明性、そして問題解決に向けた資金や法的整備などを早急に確保していくことが必要である」と続けた。

アジア太平洋での木材消費量は、10年前に比べ25%以上増加。インドネシアやパプアニューギニアでは、すでに65%以上の原生林が破壊されている。破壊の最大の要因である違法伐採およびその取り引きの停止に向けて、グリーンピースは、木材市場に関わる各国政府が、税関手続きと森林法の施行に関して、以下のような事項を優先的に取り組むべきと訴えている。

税関データ(木材・木製品輸出入における)やコード表の調整および税関手続きの改善と地域間での協同作業

森林法および税関手続きを専門に施行するチームの確立

地域間のモニタリングやデータ・システムの確立

木材輸出入向けの公式な港湾の指定

「木材消費国は、違法伐採の定義を適用し、その木材の輸入を禁ずる規制を行なう必要がある」と、尾崎由嘉は語った。さらに「独立機関による合法性の証明とモニタリング、伐採時からの各流通管理の工程(COCシステム)を明確にさせた上で発行される輸出入許可証の導入、そしてすべてのプロセスにおいて市民の参加と情報の透明性を確立させていくことが必要だ」と、続けた。


グリーンピースによる配布文書(英文 : PDFファイル27KB)
「Priorities for the East AsiaForest Law Enforcement and Governance Process (Complete Set of Priorities)」


(注1)
「森林法の施行に関する国際会議(FLEG:Forest Law Enforcement and Governance)」は、森林法を犯し森林破壊を起こす問題の抑制に向けて、国際的協力を実施していくため木材取り引きに関わる各国政府が参加する会議である。特に、違法伐採と関連取り引き、および汚職の根絶を目指し、世界にわずかに残る森林の保護および持続可能な利用の促進を進めていくものである。FLEGプロセスは今回の東アジアのみならずヨーロッパ、アフリカ、ロシア、北アジアなど異なる地域で展開されている。

(注2)
「税関および森林法の施行に関するワークショップ( The Customs and Law Enforcement Workshop )」は、2005年11月28日から30日にフィリピン、セブ市にて開催され、税関と森林法に関する専門担当者とNGOなどが参加した。今回のワークショップは、
1)担当者間のネットワーク構築-違法伐採および取り引きに関する問題の理解を深め、森林法のより効果的な施行に向けた方法の模索
2)国際木材市場において、国レベルの輸出入手続きに関する情報交換
3) 輸出入に必要な文書化に適切な手法の模索
3) 一国、二カ国間、地域レベルで必要な行動計画の優先付け
などを目的としている。



関連URL
「原生林保護キャンペーンとは?」
調査レポート「森林破壊の連鎖I, II, III」 
グリーンピース・ジャパン 森林問題サイト

お問い合わせ
特定非営利活動法人 グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話03-5338-9800
FAX 03-5338-9817
森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当     城川桂子