国際環境保護団体グリーンピースは、本日、1 万人に近い世界の人々の平和へのメッセージを広島市原爆ドーム前の空に掲げ、被爆者の冥福を祈るとともに、核のない平和な世界の実現に向け、日本政府にこの記念すべき年に核のない平和な世界をリードするよう訴えた。 平和の羽根(C)Greenpeace/J.S Hibbert

グリーンピースは、原爆投下から60周年に当たる今年、「平和の羽根プロジェクト」を開始。7月22日から各国支部のウェブサイトを通して呼びかけた。このプロジェクトは、世界各地の人々の平和を求める声を広島に届け、同団体創設以来、核のない平和な世界を求めてきたグリーンピースの活動の継続を広島の地で誓い、世界の指導者には核廃絶の具体的な行動を呼びかけ、被爆国日本の政府には核兵器に使用されうるプルトニウムを生産する六ヶ所再処理工場計画を放棄して平和に貢献するよう求めようというものである。

午前8時、日本語、英語、スペイン語、ロシア語、フランス語、韓国語など計14ヶ国語で世界156カ国あるいは地域から送られてきた9422通のメッセージは、七色の羽根に印刷され、12羽の白い鳩型のバルーンの翼にびっしりと貼られて原爆ドーム前の空に舞った。鳩バルーンを掲げたのはグリーンピース・インターナショナルのジャンポール・ウー理事、英国、トルコ、フィジーなど海外支部のスタッフなど十数名。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中煕巳事務局長や広島市民も参加した。

グリーンピースの一行は8時15分、被爆者の冥福を祈って黙祷した後、英国、オーストラリア、トルコなどから訪れた核問題、軍縮問題エネルギー問題の各担当スタッフがそれぞれ平和の誓いを行った。ウー理事は、「私たちは、米国の2発の核爆弾によって奪われた命を敬うためにここに来ました。被爆された方々のご冥福のためにも、世界の指導者たちは私たちが届けた世界の多くの人々の願いを一刻も早く実現すべきです」と述べた。 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中煕巳事務局長は「核兵器の廃絶は被爆者の悲願です。被爆者が高齢になりつつある今、世界の一人でも多くの人に核兵器の恐ろしさを知ってもらうことが必要。世界からのメッセージに大きく励まされた」と挨拶した。

またこの日、グリーンピース・インターナショナル事務局長ゲルド・ライポルトをはじめとする世界40の国や地域にあるグリーンピースの支部の事務局長27名、計28名が共同声明を発表。声明では、被爆者の苦しみを忘れることなく、核兵器の廃絶と平和な世界の実現へ向けて行動を続けることを誓うと同時に、今年秋に開催される国連ミレニアムサミット・プラス5における核廃絶への具体的取り組みなどを、世界のリーダーへ求めている。また、核兵器の廃絶と同時に、核兵器に使用可能なプルトニウムを既に蓄積している日本などの国々に対して、即時に計画を放棄ことも求めている。

「青森県六ヶ所村の再処理工場は、これまで日本が進めてきた核廃絶への訴えを自ら弱めることになる」、と同声明は日本政府へ六ヶ所における再処理計画の放棄を訴えている。

「平和の羽根」を原爆ドームで掲げた後、グリーンピースの一行は平和記念公園に移動し、原爆慰霊碑に献花して、再び被爆者の冥福を祈った。6日には平和式典に参加する。

世界156カ国から寄せられたおよそ1万通のメッセージは、今月10日に首相官邸へ届けられ、同時に三村青森県知事へも郵送で届けられる予定である。

関連ページ
グリーンピース・ジャパン「平和の羽根」プロジェクトサイト
声明:広島と長崎の被爆60周年へ向けて
8月5日の模様(スライド)
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核問題担当 野川温子
広報担当 城川桂子