[写真]国内の港に積み上げられた輸入木材
国内の港に積み上げられた輸入木材〜Greenpeace 国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、国と都道府県を対象に行った公共事業における木材・木製品調達に関する調査の結果を本日公表し、海外で違法伐採された木材の利用を避けるための輸入木材に関する具体的対策が国内で進められていないことを明らかにした ( 注1 ) 。
同調査は、違法伐採問題対策の必要性に数々の国際会議の場で合意してきている日本政府が具体的に取り組みを行っているか、また、地方自治体が進める公共事業の中でどのように木材が調達されているか、を調査し、国内の木材調達の実態を把握することを目的として行われた。 47都道府県と中央1府10 省に対する公開質問状は5月25日に送付され、6月20日を締め切りとしていた。)

7月8日までにグリーンピース・ジャパンに回答したのは、47都道府県のうち、42都道府県と、1府10省のうち8府省。これまで違法伐採問題に携わってきている林野庁が属する農林水産省からは、無回答であった。

今回の調査結果で明らかになった主な点は以下の通り。

1府10省のうち、環境省のみが、国産材の産地および輸入材の原産国までを把握。
その他直轄事業を行う内閣府および省では、調達先等は全く把握されていない

39都道府県が、「違法や破壊的伐採による原生林破壊の問題」を認識している

各都道府県で現存する方針は、主に“県産材利用推進”などで、輸入材利用に対する方針はなく、違法に産出された製品を排除する具体的対策はとられていない

ほぼすべての自治体において、公共事業で使われる木材調達先は、県産材に関してのみ把握されているが、輸入材の調達先、量は全く把握されていない

[写真]国内の港に積み上げられた輸入木材
国内の港に積み上げられた輸入木材〜Greenpeace
この調査結果を踏まえ、グリーンピース・ジャパンは、世界の原生林破壊の回避に貢献するために、日本政府および都道府県に対し以下のことを要請していく。

日本政府は、民間企業などの規範となるべく、政府調達木材・木製品について、輸入国としての具体的対策をとること

適切に管理された間伐材、国産材利用などは具体的行動計画をもってさらに進めること

特に輸入される木材・木製品に関しては、原産地の森林管理状況、生産過程を、独立した第三者機関が審査し、来歴の把握が可能なFSC(森林管理協議会)認証などを得た木材・木製品を調達すること

[写真]伐採され積み出される木材(ソロモン諸島)
伐採され積み出される木材(ソロモン諸島)〜Behring-Chisholm/Greenpeace
調査結果をまとめたグリーンピース・ジャパン森林問題担当の尾崎由嘉は、「多様な生態系を支える世界の原生林は、違法や破壊的に行われる大規模な商業伐採のために、いまだに消失の脅威に晒されている。日本の公共事業においても、調達先の森林管理状況を確認することなく木材が調達されているため、違法で破壊的に伐採された樹木が使用されている可能性は高い」と述べ、「日本政府は、調達先の森林管理状況が把握可能なFSC認証材の導入など具体的対策によって問題解決に貢献すべきだ」と語った。


(注1)
「木材・木製品の調達に関する公開質問状」回答概要 および回答

「木材・木製品の調達関する質問状」 (2005年5月)[Microsoft Wordファイル]



関連URL
「原生林保護キャンペーンとは?」
調査レポート「森林破壊の連鎖I, II, III」 
プレスリリース 「公共事業の木材調達に関する調査開始」(2005/5/25)
グリーンピース・ジャパン 森林問題サイト

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森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当     城川桂子