国際環境保護団体グリーンピースは、三菱製紙株式会社が「輸入木材チップはすべて植林木」とすることを公表し、タスマニアの原生林からの購入を回避していることを確認した。グリーンピースはこの同社の決定を歓迎するものである。

グリーンピースは、2003年11月よりタスマニアの原生林保護のための活動を開始し、2003年12月17日に三菱製紙、王子製紙などに 要望書を提出 。木材チップおよび紙・紙製品等を扱うこれらの日本企業に対し、タスマニアで破壊的に原生林を伐採して産出された木材チップの購入停止を求めた 注1 ) 。 また、同様の要望を送るように世界の人々に サイバーアクション への参加を呼びかけてきた。

三菱製紙は、グリーンピース・ジャパンの要望書に対し、2004年5月、「植林木あるいは来歴が明確な二次林材へ、可能な限り速やかに切り替える」 注2 ) と返答していたが、この意向はこれまで実現されていなかった。 しかし、同社は本年6月1日に「森林資源の保護・育成と木材調達及び製品輸入業者および製品の考え方」の中で、「輸入木材チップはすべて植林木です」と明言した。 グリーンピース・ジャパンは、同社がタスマニアから購入する木材チップは植林木のみの購入に切り替えていることを電話で担当者に確認した。同時に、同社をサイバーアクションの要請先から除外した。

[写真]タスマニアの原生林 タスマニアの原生林 〜 Murayama_Yoshiaki
「三菱製紙の今回の決定は、タスマニアの原生林破壊を望んでいない世界中の多くの人たちにとって、大きな力です。また、タスマニアの伐採会社の森林管理を、森林生態系に配慮した方法へ変えさせるための確実な第一歩となるものです。」と、森林問題担当尾崎由嘉は語っている。

製紙企業へのサイバーアクションは、2003年11月からこれまでに18,000件以上の声が届けられているが、王子製紙、日本製紙は、タスマニアで保護されていない原生林を破壊して産出される木材チップの多くをいまだに購入している。グリーンピース・ジャパンは今後もこの2社に対するサイバーアクションは続けていく。


(注1)
タスマニアの原生林伐採は地元伐採企業ガンズ社によって行われている。
ガンズ(Gunns)社: 本社オーストラリア タスマニア州。 タスマニアで木材チップを生産し、世界で最も破壊的に広葉樹の伐採を行っている企業のひとつ。タスマニアでの原生林を破壊的に伐採し、毎年500万トンもの天然林からの木材チップを輸出している。そのほとんどが日本向けである。これまでにもオーストラリアの環境保護団体やタスマニア住民の7割が伐採に反対の声をあげてきているにも関わらず、オーストラリア社会のそのような声をも無視して、原生林破壊を止めることを拒みつづけている。

(注2)
三菱製紙の返答 (2004年5月)



関連URL
サイバーアクション「タスマニア原生林、一部保護へ! 依然、残された原生林は日本の紙製品に… 」
木材チップを購入している日本企業からの反応
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