[写真] 〜 Greenpeace/Naomi Toyoda

国際環境保護団体グリーンピースと日本消費者連盟など4つの市民団体は、本日、カナダ大使館を訪れ、カナダ産の遺伝子組み換え(GM)ナタネで日本の食品や環境を汚染しないよう求めるカナダ政府宛の要請書 ( 注1 ) を手渡した。要請書ではまた、カナダ産のGMナタネは日本に輸出しないよう求めている。

明日25日から、遺伝子組み換え有機体(GMOs)の被害に対する賠償責任について「バイオセイフティ議定書(カルタヘナ議定書)」のもとで各国政府間で初めての話し合いがカナダのモントリオールで開かれるが、本日カナダ大使館を訪れた一行はこの会議を明日に控え、同会議のホスト国であるカナダ政府へのメッセージを届けたもの。一行はまた、消費者の不安を訴えるため、日本で市販されているGMナタネを原料としたGM表示のないキャノーラ油製品を大使館に届けた。

要請書によると、日本に10港あるカナダから輸入されるナタネの荷降し港のうち、8港の周辺地域でGMナタネの自生が確認されている。5港が国立環境科学研究所の調査により、3港が市民団体によって確認されている。GMナタネの自生は、港周辺のみならず、内陸地の田んぼの畦や川べり、道端の草地でも確認されており、運送中にこぼれ落ちた種が芽を出したものと見られている。鹿島港(茨城県鹿嶋市)から30キロも離れた国道沿いなどもそのうちのひとつ。

[写真] 〜 Greenpeace/Naomi Toyoda

日本に輸入されるセイヨウナタネは年間、200万トン。そのうち80%がカナダ産で、カナダ産キャノーラの8割は除草剤グリホサートやグルホシネートに耐性であり、農薬会社のモンサント社とバイエル社の2社によって開発されたGMナタネである。これらの除草剤も両企業が販売。カナダから輸入されたナタネは、調理油用に搾油したり、マーガリンやマヨネーズの加工に使ったりするほか、家畜の飼料や肥料にも使われている。
消費者団体は、GMキャノーラ油やそれを使った加工食品にGM表示がないことから、消費者の選ぶ権利を奪うものであるとして憂慮しており、千葉港周辺では、市民グループによって、除草剤ラウンドアップ耐性のGMナタネの除去作業が続けられている。その量は小型トラック1台分にも及んでいる。また、こぼれ落ちたGMナタネが自生すると、日本で栽培されているアブラナ科のキャベツ、ハクサイ、ダイコン、カブなどに遺伝子汚染を広げるおそれがある。遺伝子を組み換えた「超雑草」が出現する可能性もあり、これは特に毒素の強い農薬の使用を助長する。

本日、カナダ大使館を訪れたカナダ人のスティーブ・シャルホーン(グリーンピース・ジャパン事務局長)は、「カナダ政府は、汚染されたGMナタネの輸出をやめ、カナダ産の製品を好んでいる日本の人々に対して責任を取るべきだ」と語っている。

25日から始まる賠償責任についての話し合いと30日から始まるバイオセイフティ議定書第二回締約国会議にはグリーンピースから日本人スタッフのアキコ・フリッドが参加する。

アキコ・フリッドは、「日本に輸入されるGMナタネによって起こっている汚染は、GMOに関する厳しい責任法がなぜ必要であるのかを示すよい例である。遺伝子の組み換えられた種が私たちの食べ物や環境に悪影響を与えた場合、賠償するのは選択の与えられていない消費者でなく、汚染者であるべきだ。この事が今回のモントリオール会議の緊急課題とされるべきである」と語っている。


注1
カナダ政府への要請書(英語) (PDFファイル 13KB)

今回の活動に関する写真は こちら からダウンロードできます。

参考資料
「遺伝子組み換えナタネの汚染拡大を日本でも確認、原因はカナダ産」 (PDFファイル 302KB)
GENETICALLY ENGINEERED CANOLA CONTAMINATION ACROSS JAPAN (英語) (PDFファイル 302KB)

関連URL

バイオセイフティ議定書 : http://www.biodiv.org/doc/meeting.asp?mtg=BSWGLR-01 (生物多様性条約サイト)


お問い合わせ
特定非営利活動法人 グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話 03-5338-9800  FAX 03-5338-9817
事務局長 スティーブ・シャルホーン
広報担当  城川桂子
グリーンピース・インターナショナル
遺伝子組み換え問題担当 アキコ・フリッド(在モントリオール)