【ドイツ、ボン発】 5月16日よりボンで開催されていた国連気候変動枠組条約の「政府専門家セミナー」 ( 注1 ) が本日閉幕した。日本を含む180カ国以上の政府代表が参加し、気候変動に関するこれまでの取り組みや将来の制度のあり方などについて話し合われた。今回の「セミナー」は、非公式ながらも国連の場で初めて、各国政府が将来枠組みに関する意見交換を行うものとなり、同「セミナー」での議論が、今年末カナダのモントリオールで行われる国連温暖化会議の国際交渉 ( 注2 に大きな影響を与えるため、その内容と方向性が注目されていた。同「セミナー」の参加国の多くが、気候変動は深刻で緊急性を要する問題であるという認識を示し、気候変動に取り組むための国際制度を強化、拡大すること、そしてこのための議論を早急に開始することの重要性を表明した。

南アフリカ、中国、メキシコは、気候変動は深刻な問題であり、その解決に向けてそれぞれが重要な役割を担っていることを明確に表明した。米国、オーストラリア、インド、サウジアラビアは以前と変わらず消極的な態度をしていたが、南アフリカは発表の中で、カナダでの温暖化会議で2013年以降国際制度に関する交渉を開始するための「モントリオール・マンデート ( 注3 ) 」に合意することを呼びかけ、メキシコ、ツバルなどが賛同の意を表した。また、スイス、ノルウェーなどをはじめとする多くの国々がカナダの会議で早急に将来枠組みに関する交渉プロセスを開始することを主張し、日本政府も将来枠組みに関する議論を進めることが重要との立場を表明した。

「このセミナーでは、今年末のモントリオールでの会議に向けて早急に議論を開始すべきという重要なメッセージが発せられた。カナダで中身のある『マンデート』に合意できるかどうか、これから日本政府の積極的な働きかけが非常に重要になる」と、グリーンピース・ジャパンの気候変動問題担当 中島正明は述べた。

グリーンピース・インターナショナルの気候変動問題担当 スティーブ・ソーヤーは、「米国などの国々が消極的な態度を取っているが、いずれ交渉に戻ってくることを余儀なくされる。意義ある気候変動の将来枠組みを実現するために、欧州連合、日本、カナダが国際的なリーダーシップを発揮することに期待する」と述べている。

注1 昨年12月にブエノスアイレスで開かれた国連気候変動枠組条約第10回締約国会議(COP10)で開催することが合意された非公式セミナーで、元々は2013年以降の将来の制度を議論するために提案されたもの。COP10での議論やその背景については、グリーンピース・ジャパン 「国連気候変動枠組条約第10回締約国会議(COP10)結果報告」 を参照。

注2 カナダで行われる会議は、気候変動枠組条約の締約国会議である「国連気候変動枠組条約第11回締約国会議(COP11)」と、京都議定書締約国会議である京都議定書第1回締約国会議(COP/MOP1)が同時開催となる。京都議定書第3条9項には2005年には、先進国の約束を見直すことが明記されており、今年のカナダでの会議でその交渉が始まることとなっている。

注3 1995年のCOP1で合意され京都議定書の合意につながった「ベルリン・マンデート」のような形で、交渉期限、先進国のさらなる約束、そして大規模排出国が何らかの形で参加することなどの必要な要素を盛り込み、今後の交渉の道筋を示す「マンデート」に、今年末のモントリオールでの会議で合意することが求められている。

関連URL
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気候変動問題担当 中島正明
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