【ニューヨーク】本日、ニューヨークの国連本部において第5回「国連森林フォーラム(UNFF)」(注1)が開催される。国際環境保護団体グリーンピースは、UNFFは、森林生態系と森林に依存するコミュニティーの保護に向けた対策をこれまでに全く行ってこなかった機関だとして、会議に参加する各国政府に対し、UNFFそのものを閉幕するよう呼びかけている。

1992年のリオ・地球サミット以降、持続可能な森林経営のための国際的な政策対話の場が設置されて来た一方で、世界にわずかしか残っていない原生林の消失は続き、その消失速度は増加する一方である。過去13年間に、フランス、スペイン、ドイツ、スウェーデンの国土を合計した面積以上の原生林が消失している。UNFFをはじめとし、こうした問題を取り扱う多くの国際会議は、現在まで、何の成果も上げておらず、会議開催自体が公的資金の無駄遣いであることを示している。

グリーンピースは、国際社会にたいし、UNFFではなく、地元のコミュニティーや先住民族の利益に適い、かつ生物多様性をまもる合意を成立させた実績をもつ生物多様性条約のもとで、法的拘束力のある森林議定書を採択するよう訴えている。

各国政府が採択すべき合意とは、2002年のヨハネスブルク・サミット(WSSD)で設定された目標を達成できるようなものでなければならない。リオ・地球サミットから10年後に開催された2002年のWSSDでは、「木材の国際市場を規制しながら生態系に配慮した森林管理を行い、森林保護のための資金を確保していくことによって、2010年までに森林生態系の消失を減少させ、阻止すること」とした目標が設定されている。

「多様な生態系を支える原生林に危機をもたらしている主な原因は、木材生産地域から日本を含む消費地域への国際市場だ。問題解決には、法的拘束力があり、公平かつ効果的な多国間協定が必要で、日本政府もこうした協定策定に向けてリーダーシップをとるべき」と、グリーンピース・ジャパン森林問題担当の尾崎由嘉は語っている。

「生物種の消失や森林減少といった世界各地の原生林が直面している壊滅的状況を変えるため、迅速で強力な政策が必要とされている。”国連の書類”上で繰り返される”立派な言葉” は森林に依存して生活する人々には必要ない。各国政府のリーダーは、京都議定書を手がかりとして、法的拘束力ある原生林保護のための協定を策定すべきである。」と、グリーンピース・インターナショナル森林問題担当、マーティン・カイザーは語っている。

(注1) UNFF(United Nation Forum on Forest): 持続可能な森林経営を推進していくために2001年に設けられた国連の機関。地球サミット以降、森林問題を協議する場として、森林に関する政府間パネル(IPF)、ついで森林に関する政府間フォーラム(IFF)が設置され、それぞれ行動提案が取りまとめられた。
UNFFではIPF、IFFの行動提案の実施促進、法的な拘束力を持つ国際的な枠組みの検討等を行ってきており、今回の会議ではこれまでの活動状況の見直しがおこなわれることになっている。

関連ページ:
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森林問題担当 尾崎由嘉
広報担当   城川桂子