【ニューヨーク】本日、ニューヨークの国連本部で核拡散防止条約(NPT: Nuclear Non-Proliferation Treaty)の再検討会議が開会した。世界189カ国の代表が、核保有国の軍縮と非核保有国の核拡散防止をめぐり25日間に亘って議論を展開する。同条約は1970年に発効し、5年ごとに開催される再検討会議は今回で7回目。今年は広島・長崎の原爆投下から60年周目にあたり、前日、市内のセントラルパークで行われたNGO集会に約4万人が参加するなど、グリーンピースなど多くの市民団体が日本や世界からニューヨークに集まり、会議で核廃絶へつながる決議がなされるようにとの働きかけが始まっている。

国際環境保護団体グリーンピースは3人の核問題担当者を会議に派遣。グリーンピース・ジャパンからは核問題担当の野川温子が参加し、特に、2007年5月に稼動予定の日本の六ヶ所再処理工場が非核国での核拡散のきっかけともなりかねないとして、会議参加各国代表に包括的な再処理・ウラン濃縮の凍結を訴える。青森県にある六ヶ所再処理工場は、今年末から原子力発電の使用済み核燃料を使った試験を行うことになっている。

グリーンピースは前回2000年に開かれたNPT以降、毎年開催されてきた準備会合の場で、加盟国に対し核軍縮・不拡散への具体的な計画を出すよう求めてきている。今回の再検討会議においては、以下の4つの点への責任ある対応を求めている。核拡散防止条約(NPT)へ加盟する各国は;

1995年と2000年の再検討会議において決定がなされた、核分裂性物質生産禁止条約の交渉を始めることなどを再確認すると共に、2005年再検討会議の場において更にこれを強化すること。
軍事と民生の目的で行われるウラン濃縮と核再処理の即時凍結と、完全な段階的廃止へ向けたタイムテーブルを実行すること。
包括的かつ検証可能な核分裂性物質生産禁止条約の締結へ向けて、全ての再処理を停止することを目的として、ジュネーブの軍縮会議(CD)において即時に話し合いを開始すること。そして、国際原子力機関(IAEA)専門家グループが推進する核燃料サイクル国際管理構想を拒否すること。
拡散防止安全保障構想(PSI)の差別的な内容が改善されるまで、プルトニウムの輸送へのモラトリアム(凍結)の即時実行を早急に決議すること。
同会議の開会式で、エルバラダイ国際原子力機関(IAEA)事務局長が発言し、「5年前の会議から世界の安全保障をめぐる情勢は大きく変化した。秘密裏に行われてきた非核国による核兵器開発が明らかになるなど、IAEAの限界も現れた」と現状を訴え、同会議で核不拡散の強化へ各国が一層前向きに取り組むよう促した。

「核兵器の保有を目指して原子力技術の開発が世界に広がっている事が明るみになっている今、核兵器の材料であるプルトニウムが生産される日本の再処理計画も核拡散への疑惑の対象となってくるのは必然。被爆国が核物質を生産することのないよう、各国代表へ声を届けることが大切だ」と野川温子は述べている。

野川温子は、会議が閉会する27日まで核軍縮・不拡散へ向けて具体的な討議がなされるよう加盟各国代表に働きけていく。

下記のグリーンピースWeb サイトをご覧ください。
核拡散防止条約(NPT)再検討会議 –ニューヨークからの報告

お問い合わせ:
グリーンピース・ジャパン
電話 03-5338-9800 FAX 03-5338-9817
核問題担当 野川温子
広報担当  城川桂子