国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、沖縄県名護市辺野古(へのこ)沖に予定されている米軍普天間基地に替わる海上基地建設計画が、現地の貴重な海洋生態系を破壊するとして、建設に反対する地元住民団体の活動に参加・協力することを決定した。

辺野古周辺海域には希少な海生ほ乳類であるジュゴンが生息し、主食となる海草が生育している。ジュゴンは国の天然記念物に指定されているが、現在沖縄本島東岸海域を中心に数十頭しかいないと推定されている。このためIUCN(世界自然保護連合)のレッドデータブックで絶滅危急種に指定している他、昨年11月に開催した第3回世界自然保護会議では前回(2000年)に続き、日本のジュゴンの保全を日米両政府に求める勧告が採択された。 ( 注1 )

このことは、日本のみならず海外でも、沖縄のジュゴンの生息する海域の生態系保護が必要だとの認識であることを示している。

しかしながら、日本政府はIUCNの勧告に配慮することなく同海域で建設のためのボーリング調査を続行させており、すでにサンゴを破壊していることが確認されている。
グリーンピースはかねてより海洋保護区の設定を世界各地で提唱しており、辺野古海域も海洋生態系保護区として開発を制限し持続的利用を図るべき場所であるとみている。

グリーンピース・ジャパンではすでにスタッフを現地に派遣しており、地元の団体とともに活動を開始している。さらに、同海域で行われているボーリング調査に対する阻止行動を支援するため、グリーンピース・ジャパンの船外機付きゴムボート(全長3.4メートル) ( 注2 ) 一艇を提供することにした。ゴムボートは来る2月10日、東京から輸送され、2月13日に辺野古に到着する予定である。

「ボーリング作業をさせないため、海上に立てられたやぐらに座り込みを続けているが、けが人が出ている。ゴムボートがあれば、機動性が増し安全対策の面からも効果的だ。協力してくれている海人(うみんちゅ=漁師)の船だけでは手が足りないので、ゴムボートはありがたい」と、地元で反対活動をしている平良夏芽氏は語っている。

[写真]
グリーンピースは世界の各地でこのようなゴムボートを使った活動をしています。 〜 Greenpeace/Grace

「このボーリング調査が本格的に始まれば、貴重な生態系の破壊が始まることになる。世界的にも認められた辺野古の海はMarine Reserve (海洋保護区)として保護され、地元の人びとに持続可能な生活が提供されるべきだ」と、グリーンピース・ジャパンのキャンペーン部長佐藤潤一は語っている。


注1
IUCN:世界自然保護連合( International Union for Conservation of Nature and Natural Resources: http://www.iucn.org/ )
1948年に設立された国際的な自然保護機関。現在82の国家、111の政府機関、836の自然保護団体、などが参加している。日本政府及び環境省も会員として参加している。今回の勧告案は、政府側は賛成70、反対4、棄権42、NGO側は賛成185、反対22、棄権24で採択された。 ( http://www.iucn.jp/news/041125-2.htm )


注2
グリーンピースのゴムボート:核廃棄物の海洋投棄など海上での環境破壊に反対するグリーンピースの抗議活動に使用されている。英語でインフレータブル(inflatable boat)。


関連URL
スライドショー 沖縄・サンゴの海 ~米軍基地建設予定地で今~
お問い合わせ
特定非営利活動法人 グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話 03-5338-9800  FAX 03-5338-9817
キャンペーン部長 佐藤潤一
広報担当  城川桂子