国際環境保護団体グリーンピース・ジャパン、消費者団体、反原発団体などが推進している 「 コストから原発を考えるプロジェクト 」 は、今国会へ提出される予定の「バックエンド新法」(原子力発電のバックエンド事業に新たな経済的な措置を講じる新法案)に関し、本日、同法案の上程を見送るよう 要請書 を小泉首相と、中山経済産業大臣に提出した。
同法案の正式名称とされている「原子力発電における使用済核燃料の再処理等のための積立金の積み立ておよび管理に関する法律」から読み取れるように、同法案は、使用済み核燃料の処分費用を、電力会社が国の指示を受けて外部法人に積み立て、管理することなどと規定し、それを法制化しようとするものである。

具体的な廃棄物対策を持たないことから、「トイレなきマンション」と呼ばれてきた原子力発電は、2004年7月、その核廃棄物再処理に総額およそ19兆円の費用が掛かるとの試算を経済産業省が発表した。この19兆円の負担方法に関して、経済産業省の諮問機関「総合資源エネルギー調査会電気事業分科会」で2004年に議論が開始され、同年8月に出された同分科会の中間報告では、電力会社が「受益者負担の原則の下、予め少しずつ積み立てる仕組みを整備することが必要である」ことが明記された。ここでの受益者とは消費者のことを指し、電力会社や国策によって推進されてきた原子力の廃棄物対策費用が、結局は電力料金に上乗せされ、消費者の負担となることが明らかにされたのである。

一方、経済産業省は、この廃棄物対策であるバックエンドコストの制度・措置について、国民から意見を聞くためとして、昨年7月から8月にかけてのおよそ一カ月間、パブリックコメントを募集した。これに対し780件の意見が寄せられたが、そのうち255件は「消費者に負担を負わせることには反対」と述べたものであった。他にも「核燃料サイクルやプルサーマルの安全性への疑問」(338件)「コスト試算問題の真相究明をすべき」(119件)などがあった。

今回の新法案に、このパブリックコメントは全く反映されておらず、早ければ今国会での法制化の準備が進められている。

「パブリックコメントに寄せられた780通の意見の多くが、後始末費用の消費者負担に反対するもの。後始末にかかるお金を消費者に推しつけ、環境汚染を続けるのではなく、再生可能なエネルギーへの投資をすすめるべきだ」と、グリーンピース・ジャパンの核問題担当野川温子は述べている。


電気事業者の経営や原子力政策の失敗を電力消費者に押し付ける法律案に反対する要請書(16KB:PDFファイル)


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