【アルゼンチン・ブエノスアイレス発】 地球温暖化防止会議(COP10) ( 注1 ) は本日終了したが、その結果に対し、グリーンピース強い失望と、交渉を妨害してきた米国およびサウジアラビアに対する憤慨の念を表明した。グリーンピースは、今回の結果からは、将来の温室効果ガス削減努力に関する議論が来年大きく進展することはなく、気候変動の影響を最も受ける国々が工業先進国からの支援を確保することにはつながらない、としている。

「今回の会合で米国の妨害戦略に多くの人が気づいたことだろう。結果として、かろうじてプロセスを前に進める合意を取り付けるにとどまった」とグリーンピース・インターナショナルの政策アドバイザーのスティーブ・ソーヤーは述べている。

「この合意では今後1年間で将来の気候変動に関する交渉を進めることは難しい。そして、パッケージ合意 ( 注2 ) は適切というには程遠い」とスティーブ・ソーヤーは付け加えている。

2005年に開催される第11回締約国会議(COP11)では、将来の気候変動の枠組みに関して公式に議論が始まる。このため今回のCOP10では、この準備として2005年中に気候変動に関する将来の枠組みを議論するための非公式会合を開催することが提案され、これをどのようなものにするのかに焦点が集まった。しかし、米国の主張によってこの提案はほとんど意味を持たない「勉強会」となってしまった。米国は、この議題が将来の温室効果ガス削減の議論につながること、そしてその結果を今後の交渉の場へと報告することに強硬に反対した。

サウジアラビアも、会議を通して米国と足並みを揃えて、交渉を難航させた。これまでも、温暖化対策が進むことによって石油による利益が減少することへの補償を求めたり、途上国の適応策への資金支援に関して都合の良い条件を付けることで交渉の進展を妨害してきたが、今回は特にその行動が目立った。

「温暖化の影響を受けやすい途上国が対策を行うことの緊急性が非常に高くなっているにもかかわらず、サウジアラビアはそのための資金支援を奪い取ろうとしている。彼らの交渉ポジションは全く不合理だ」とグリーンピース・ジャパンの気候変動問題担当中島正明は述べている。

「私たちは今後米国とサウジアラビアの強硬姿勢を封じ込めていかなければならない。このままでは温暖化が危険なレベルに達するのを本当に止められなくなる。そういう意味で今後日本がしっかりとEUと共に交渉の中で影響力をもつことが重要だ」と中島正明は付け加えた。

来年11月に開かれる同条約第11回締約国会議(COP11)は、京都議定書が来年2月に発効することから同議定書第1回締約国会議(COP/MOP1)と同時開催される。京都議定書を批准しない限り、米国には今後の議定書会合においてはオブザーバー資格しか与えられない。


注1
地球温暖化防止会議(COP10):正式には国連気候変動枠組み条約第10回締約国会議

注2
パッケージ合意:今回のCOP10では、特別気候変動基金やその他の途上国支援に関する諸問題がひとつの合意パッケージとして交渉された。しかし、全ては合意されず、交渉が先送りにされた。

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COP10背景資料

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