今年6月から始まった「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(略称:原子力長期計画)」の策定会議において、本日午後、再処理路線維持という方針が示される見込みだ。国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、放射能汚染などリスクの多い使用済み核燃料の再処理に反対し、議論の継続はもとより、広く一般に開かれた議論が必要だと主張し、策定会議場前で六ヶ所再処理工場からの放出放射能を表わした絵と「六ヶ所から日本各地へ、世界へ 放射能汚染始めるのですか」と書かれたバナーを広げてアピールする。

[写真]策定会議会場のビル前でバナーを掲げるグリーンピースメンバー
〜 Greenpeace

「策定会議では、再処理による環境や人体への深刻な影響についての検討がほとんどなされてこなかった」とグリーンピース・ジャパンの核問題担当野川温子は振り返り、「策定委員の人選を見れば、“まず再処理ありき”の結論は見えていた。再処理するオプションと、しないオプション、それぞれについての環境・安全性・核拡散などの包括的検討なしの結論はありえないはず」と批判する。
再処理工場は原発とは比較にならないほど大量の放射能を日常的に環境中に放出する。このため、北東大西洋の海洋汚染防止のための国際会議であるオスロ・パリ(OSPAR)委員会 ( 注1 )定例会議は2000年6月29日、再処理停止と使用済み核燃料の乾式貯蔵を求める決議を採択している。また、英仏再処理工場周辺では、小児白血病が多発しており、再処理工場からの放射能放出との関連が引き続き研究されている。

今後、青森県と日本政府、電気事業連合会会長などが参加する「核燃料サイクル協議会」が開催される。次いで県、六ヶ所村と日本原燃との安全協定締結、六ヶ所村隣接市町村との安全協定締結へと進めば、ウラン試験へと進む。グリーンピース・ジャパンでは引き続き、再処理の環境リスクを訴えていく。


注1
OSPAR委員会:オスロ条約(欧州投棄規制)、パリ条約(陸上起因による海洋汚染防止)を確実に実施するために設置された。OSPAR(オスロ・パリ)条約(北東大西洋の海洋環境保護に関する条約)発効の1998年からは、同条約に基づいて北東大西洋の海洋環境保護のために定例会議が開催されている。北東大西洋に面する15カ国と欧州連合が締約国。



関連URL
グリーンピース・ジャパン核問題Webサイト

サイバーアクション 青森県でのウラン試験を止めるために


お問い合わせ
グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話 03-5338-9800  FAX 03-5338-9817
核問題担当 野川温子
広報担当  城川桂子
キャンペーン部長 鈴木かずえ