【アムステルダム発】国際環境保護団体グリーンピースは、国際エネルギー機関(IEA)が本日発表した隔年報「世界エネルギー展望2004」に対して、今後数十年の世界のエネルギーに関するトレンドを適切に見通していないとの批判的な見解を発表した。

「世界エネルギー展望2004」の問題点は以下の通り。

エネルギー効率に関するIEAの他の出版物などとは異なり、「気候変動の進行を抑制するために化石燃料を基本としたエネルギー供給体制からの世界的かつ緊急な移行を行わなければならない」という科学的認識を無視している。

今後も化石燃料が依然として大勢を占め、原子力と自然エネルギーの割合は限られたものになるとしている。

IEA自身のエネルギー効率に関する研究 ( 注1 ) を考慮していないだけでなく、エネルギー需要を「毎年1%ずつ減少させる」という目標を設定した「エネルギー効率的利用に関するEU指令」をも無視している。

「IEAはこの報告書をもって、エネルギーの無駄な利用、化石燃料の燃焼、そして気候変動問題を無視し続けてもいいという危険な信号を、世界中の政策決定者や産業界に送っている」とグリーンピース・インターナショナルのヤン・ヴァンデ・プッテは語っている。

英国政府によるエネルギー見直しレポートでは、2020年までに風力は天然ガスよりも安価で利用しやすいエネルギー源になると予測している。また、グリーンピースと欧州風力エネルギー協会による報告書 ( 注2 ) でも、2020年までに世界の電力需要の12%以上は風力発電で賄えるとしている。さらに欧州再生可能エネルギー協議会(EREC) ( 注3 ) も、2030年までに自然エネルギーは世界のエネルギー需要の35%を供給できると試算している。

「IEAは世界的な自然エネルギー利用促進の機運を無視している。化石燃料や原子力に多額の補助金がついているという現状があるにもかかわらず、風力は過去10年で年間平均30%の成長率を保ち、太陽光発電産業も急成長している。現在日本でもエネルギー政策の根幹をなす『長期エネルギー需給見通し』の見直作業が行われているが、日本はIEAの路線を踏襲してはならない」とグリーンピース・ジャパンの気候変動問題担当 中島正明は語っている。

注1
IEA, Cool Appliances _ エネルギー効率のよい住宅のための政策戦略 パリ 2003年

注2
欧州風力エネルギー協会とグリーンピースによる「ウィンドフォース12」2004年5月(PDFファイル)

注3
欧州再生可能エネルギー協議会(EREC)「2040年までの再生可能エネルギーシナリオ」2004年

グリーンピース・ジャパンによるエネルギー政策についての主張と提言 (2004年4月2日)

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