タスマニアの貴重な原生林を伐採した木材チップを大量に輸入している日本製紙(本社 東京都千代田区有楽町)と王子製紙(本社 東京都中央区銀座)に対し、国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンが、本日、同2社本社前で、伐採されたタスマニア原生林の切り株の原寸大写真 ( 注1 ) の上に「原生林破壊やめてください!」と書かれたバナー(3x3.4メートル)を掲げ、タスマニアの原生林破壊の加担をやめるよう訴えた。

アピール行動に参加したのは、原生林保護を求めてタスマニアの樹上で5カ月間座り込み ( 注2 ) を行っていたグリーンピース・ジャパン・ボランティア活動家の野田沙京や、グリーンピース・ジャパンのスタッフ、オーストラリア人を含むボランティアなど20人以上。「あなたの声を日本製紙、王子製紙に届けてください」などと書かれた葉っぱ状のリーフレットをTシャツにつけ、朝の銀座を歩く人々にも原生林保護を呼びかけた。

[写真]葉っぱ状のリーフレットを身に付けたグリーンピースメンバー また、グリーンピース・ジャパンと原生林保護を求める市民グループのチップ・ストップ・タスマニア ( 注3 ) は要請文を同2社に届けた。グリーンピース・ジャパンからの文書( 参照 )では、タスマニアの原生林が消失する前に、実際に伐採地を見て環境破壊の実態を把握するようタスマニアの原生林へ招待しており、独立した第三者機関によって審査されるFSC(森林管理協議会)認証を得た原料へ切り替えるなどの対策をとるよう求めている。 また、チップ・ストップ・タスマニアが国内の一般市民を対象に行ったアンケートの集計も提出された。この集計によると、「この問題を日本の消費者がどのように考えるべきか」との問いに対し、「タスマニアの森林を消費している日本の消費者にも責任がある」との答えが89%に上っている。

[写真]リーフレットを歩行者に配るグリーンピースメンバー タスマニアの原生林の伐採は、オーストラリア最大の天然林伐採企業であるガンズ社 ( 注4 ) によって進められている。伐採される原生林のうちの90%は、日本企業 ( 注5 ) が購入しており、中でも日本製紙、王子製紙は、ガンズ社の主要な購入企業となっている。グリーンピース・ジャパン、ボランティア活動家の野田沙京は、「タスマニアの原生林破壊を止められるのは、日本の消費者です。」と、語っている。

グリーンピース・ジャパンは、現在、日本製紙、王子製紙、三菱製紙、およびオーストラリア政府に対してタスマニアの原生林保護をeメールで訴える「サイバーアクション」への市民の参加を呼びかけている。これまでに、計11,000通以上が送付されており、三菱製紙は、今年5月12日、「植林木あるいは来歴が明確な二次林材へ可能な限り速やかに切り替えます」とグリーンピース・ジャパンに回答している。


要請文
日本製紙宛て
王子製紙宛て

アピールの様子:スライドショー


注1
原生林の切り株の原寸大写真:(Stumps of Slice-Tasmania, 2001-02) 国境なき写真家旅団の平野正樹氏が撮影した実物大の原生林の切り株の写真で、グリーンピースの活動に賛同し提供されたもの。

注2
樹上65mでの座り込み:タスマニアのスティックス渓谷の世界一高い広葉樹の地上65メートルの位置で行われた座り込み。グリーンピースらは座り込み基地(グローバル・レスキュー・ステーション:GRS)を作り、2003年11月から5カ月間世界から集まった環境保護活動家8人がこの基地に寝泊りし、タスマニアの原生林保護を訴え続けた。


注3
チップ・ストップ・タスマニア:タスマニアの原生林伐採を止めるために、日本の企業への働きかけを行う市民グループ。 http://www.cstj.org


注4
ガンズ社: 本社オーストラリア、タスマニア州。世界で最も破壊的に広葉樹の伐採を行っている企業のひとつ。タスマニアでも原生林を破壊的に伐採し木材チップを毎年約500万トンもの天然林からの木材チップを生産・輸出している。そのほとんどが日本向けである。オーストラリアの環境保護団体やタスマニア住民の7割が伐採に反対の声をあげてきているがこれらの声を無視して、原生林破壊を継続している。


注5
タスマニアで伐採される原生林のうちの90%は、日本の企業が購入:大王製紙、中越パルプ工業もガンズ社から木材チップを購入している。また、輸入を行う商社は、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、三菱商事など。



関連URL
・グリーンピース・ジャパン タスマニアサイト

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◆グリーンピース・ジャパン
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森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当     城川桂子