グリーンピースとウィルダーネス・ソサエティーは、昨年11月より、世界で最も高い広葉樹での座りこみを行い国際的関心を集めてきたタスマニア原生林保護活動を、今後は日本企業への働きかけを強化するとともに、関係各国でのキャンペーンの強化をはかっていくこととした。この決定に伴い、両団体は、本日、オーストラリアのタスマニア州スティックス渓谷にあるグローバル・レスキュー・ステーションの解体を始めた。

タスマニアで伐採される森林のうちの90%近くは、木材チップとなって伐採企業ガンズ社 ( 注1 ) から日本の市場へと輸出されており、この原生林破壊の問題を世界中に発信したグローバル・レスキュー・ステーションには、すでに主要な国際メディアの各支局が訪れ、日本をはじめ世界各国にこのニュースを伝えた。一方、ガンズ社が生産する木材チップのほとんどを購入している日本の製紙企業は、いまだにタスマニアの原生林破壊を進めるような取引きを継続している。

グリーンピース・ジャパンの森林問題担当尾崎由嘉は、「タスマニアの原生林は現在20%しか残されておらず、これらの地域で破壊が進んでいる。関連する購入企業は、タスマニアの多様な森林生態系を維持するための重要な役割を担っていることを認識して欲しい。ガンズ社の主要顧客である、日本製紙、王子製紙、三菱製紙、大王製紙、中越パルプ工業は、問題の存在を認識しているにも拘わらずこの原生林からのチップの購入を続けている。今後は、これら製紙企業の責任をさらに追求するとともに、これら製紙企業から製品を購入している企業を含めた日本市場でのキャンペーンを展開する。」と語った。

ガンズ社からタスマニアの木材チップの最大量を購入する日本製紙株式会社は、今月1日に、タスマニア州政府とガンズ社に解決に向けた行動をとるよう申し入れたことを公表している ( 注2 ) 。しかし、一方で、昨春よりグリーンピース・ジャパンとウィルダーネス・ソサエティーが現地の原生林破壊の実態を伝え、タスマニアの原生林を破壊的に伐採して生産された木材チップ購入の停止を求めてきているにもかかわらず、タスマニアでは原生林破壊の事実はないとし、タスマニア現地で解決すべきとしている。

同日、タスマニアのスティックス渓谷では、グローバル・レスキュー・ステーションに関わった両団体のボランティア活動家達が、5カ月もの長期にわたった樹上座り込みを記念し、グローバル・レスキュー・ステーションが設置されていた木の根元で、英語、日本語、ドイツ語でメッセージを書き込んだ銘板の除幕を行なった。

昨年11月12日から樹上で生活したグリーンピース・ジャパンのボランティア活動家、野田沙京は、「タスマニアの原生林で生活したこの5カ月間に、この原生林の生態系の貴重さやスティックス渓谷で起きていることを、BBC テレビやNHKテレビ、英紙『The Guardian』や米紙『The Los Angels Times』などのメディアが世界中の人々に伝えた。これ以上日本の製紙企業がこの問題を無視し続けることは不可能だ。」と語った。

注1
ガンズ社はタスマニアの木材チップの会社であり、世界で最も破壊的に広葉樹の伐採を行っている企業のひとつ。同社は、毎年500万トンもの天然林からの木材チップを輸出していて、そのほとんどが日本向けである。また、タスマニアの原生林からからの伐採と木材の購入を行なっており、オーストラリアの環境保護団体やタスマニア住民の7割が反対しているにも関わらず、オーストラリア市民団体のいかなる声も無視して、原生林破壊を止めることを拒み続けている。
注2 日本製紙
お知らせ 「タスマニア州の原生林保護に関心を持たれている皆様へ」2003/12/11
お知らせ 「タスマニア州の原生林保護に関心を持たれている皆様へ<2>」2004/4/1

関連URL
・グリーンピース・ジャパン タスマニアサイト

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森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当     城川桂子