グリーンピース・ジャパンなど国内の反原発NGOの連合体である「再処理止めよう!全国ネットワーク(以下「再処理止めよう!ネット」)は、3月8日、青森県庁と六ヶ所村役場を訪れ、青森県知事、六ヶ所村村長に対し、六ヶ所再処理工場を運営している日本原燃の安全保証体制には根本的な欠陥があるなどとして、ウラン試験に向けた安全協定を結ばないようにとの申し入れを行った。また、日本原燃も訪問し、不正溶接の原因の説明や情報公開を求めた。

六ヶ所再処理工場のウラン試験は、放射性物質のウランを使用する試験で、4月に予定されている。青森県知事、六ヶ所村村長への申し入れで「再処理止めよう!ネット」は以下の点を指摘した。

六ヶ所再処理工場は、品質保証体制が欠陥だらけの日本原燃が建設した工場であること

不正溶接や不適切な施工の原因究明が不十分であること

再処理工場は、たとえ事業者に欠陥がなくても、環境への放射能放出により、人々の命と健康、地球環境を脅かし持続可能な社会づくりを阻害すること

( 資料1 )


この申し入れに応対した青森県商工観光労働部資源エネルギー課参事の佐藤光彦氏は「県としても、原因がどういうものか、はっきりしてもらいたい」としながらも、ウラン試験へ向けての安全協定締結については「国の検討会での結論がでてから、説明を受け、その上で、いろんな人たちの意見を聴いて判断していきたい」との見解を示した。「どういった形でいろんな人たちの意見を聴くのか」との質問に対し佐藤氏は、専門家で構成される青森県原子力政策懇話会の場で行うか、新しいグループをつくるか、まだ検討していない、と答えた。「再処理止めよう!ネット」の事務局で六ヶ所村在住の菊川慶子さんは「国の対応を待たずに、早く、県で独自に検討を始めてほしい。六ヶ所村に住んでいるものとして、このままではとても心配です。」と訴えた。

「再処理止めよう!ネット」は、同日、同じ主旨の申入れを六ヶ所村村長に対しても行ない、さらに日本原燃とも話し合いの場を持った。日本原燃には、使用済み核燃料プールで291カ所もの不正溶接が行われた原因は何か、日本原燃みずから、自社の品質保証体制に根本的な欠陥があったことを認めながら施設の安全性が確保されると言えるのは何故か、このような状況下でウラン試験を急いで4月に行おうとしている理由は何か、をわかりやすく文書で回答すること、また、施設建設時の具体的な工程表の公開をすることを求めた ( 資料2 )。

3月19日までの文書回答を求めたが、対応した日本原燃広報部の西村氏は、回答は4月いっぱいかかるとした。

「再処理止めよう!ネット」の連絡先の一団体となっているグリーンピース・ジャパンの核問題担当の鈴木かずえは、「日本原燃はみずからその品質保証体制に欠陥があると認めており、その日本原燃が建設した工場は安全とは言えないのは明らか。それにも関わらず、国は、施設の『健全性が全体として確認されていることは有意義である』との評価案を出している ( 注1 ) 。青森県の、国の対応を待つ姿勢では、人々の健康や環境は守れない。」と話している。



注1
原子力安全・保安院の「日本原燃株式会社『再処理施設 品質保証体制点検結果報告書』に対する評価(案)」(2004年2月29日)より

資料1
青森県知事への申入れ書(PDFファイル:11KB)

資料2
日本原燃への申入書(PDFファイル:10KB)



関連URL
グリーンピース・ジャパン核問題Webサイト


お問い合わせ
グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話 03-5338-9800  FAX 03-5338-9817
核問題担当 鈴木かずえ
広報担当  城川桂子