本日、国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、2004~2005年中にも発効が予想される「1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(「ロンドン条約」)の改正議定書(96年議定書)の2004年中の締結に向け国内体制の整備を行っている環境省に対し、海洋投棄の中止を訴える要請書 ( 注1 ) を提出した。

日本は、現在も世界有数の海洋投棄国であり、特に産業廃棄物に関しては中央環境審議会地球環境部会からの答申でも「わが国は、ロンドン条約に基づく報告を行った締約国の中では、投棄量・投棄品目数ともに、世界最大」 ( 注2 ) と報告されている。

グリーンピースは、10年以上、ロンドン条約の科学者会合や締約国会議にオブザーバーとして参加し、海洋投棄の中止を国際的に訴えてきた。日本国内でも、1996年に、「廃棄物はいまだに海へ」と題する調査レポート ( 注3 ) を発行し、同年に産業廃棄物原則海洋投棄禁止が実施されても、一向に海洋投棄量が減らない現状を指摘した。また、産業廃棄物の海洋投棄量の約6割(年間約170万トン)を占める ( 注4 ) 赤泥 ( 注5 ) について、その海洋投棄中止を求めて投棄を行っている全企業三社(日本軽金属株式会社、住友化学工業株式会社、昭和電工株式会社)に対し公開質問状 ( 注6 ) を送付し、各社担当者と交渉し、また、市民からの声を届けるサイバーアクションなどのキャンペーンを行ってきている。

しかし、現在も日本の海洋投棄量の削減は海洋投棄の全面中止には程遠い状態にあり、特に赤泥に関しては10年前に将来的な投棄中止を当時の環境庁が述べている ( 注7 ) にも関わらず十分に進んでいない ( 注8 ) 。

グリーンピース・ジャパンは、今後も海洋投棄が長期にわたり継続されていくのではないかと懸念しており、今回環境省に以下を要請をした。

全ての海洋投棄中止を目的とし、「予防的な取り組み」を重視した国内法の整備を行うこと。

「国際的な海洋投棄中止の流れの中で、企業の任意の削減努力に任せていたのでは、いつまでたっても海洋投棄はなくなっていかない。日本政府は、海洋投棄の全面中止に向けた積極的な国内法の整備を行うべきだ」とグリーンピース・ジャパン有害物質問題担当の佐藤潤一は語った。

注1
「廃棄物海洋投棄の中止を求める要請書」(PDFファイル:9KB)

注2
平成15年12月 「今後の廃棄物の海洋投入処分等の在り方について」中央環境審議会地球環境部会の答申 http://www.env.go.jp/council/toshin/t063-h1506/houkoku_2.pdf

注3
「廃棄物はいまだに海へ 日本の廃棄物海洋投棄の問題」(グリーンピース・ジャパン1996/2/13)

注4
平成15年12月 「今後の廃棄物の海洋投入処分等の在り方について」中央環境審議会地球環境部会の答申 http://www.env.go.jp/council/toshin/t063-h1506/houkoku_2.pdf

注5
アルミナを製造する化学工程で発生する赤色の泥。

注6
グリーンピース・ジャパンが行った公開質問状への回答 http://www.greenpeace.or.jp/campaign/toxics/ocean_dumping/activities/answer200402_html

注7
「産廃海洋投棄大国の汚名返上に業界の壁 環境庁、外国の批判も意識」(朝日新聞朝刊1993/12/28)

注8
第25回ロンドン条約科学者会合に提出された日本政府の資料(英文)より

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