【マレーシア、クアラルンプール】 地球上の生物多様性の保護を協議する生物多様性条約第7回締約国会議(CBDCOP7)が2月20日に閉幕したことを受けて、グリーンピースは、生存の危機に直面する多くの動植物の将来が、未だ危うい状態にあることを今一度強く訴えた。この会議に集まった世界180カ国の政府は、絶滅が危惧される種の保護および先住民族の権利の保障に向けた行動計画の大枠には合意したが、迅速な対策の実施と資金調達方法についての明言はなされなかった。計画の実施に必要とされる充分な資金、そして各国の積極的な参加がなければ、生物多様性条約(CBD)は張子の虎となるおそれがある。

グリーンピース・インターナショナルの森林問題担当マーティン・カイザーは、「保護地の世界的ネットワークを確立するための計画そのものは、森林破壊、海洋資源の枯渇、そして多くの動植物の種の絶滅を止める手立てを各国政府に与え、賞賛に値するものである。しかし、各国政府がこの計画を真剣に受け止め、自国に持ち帰り、計画の実行に必要な資金を拠出していかなければ、『宝の持ち腐れ』となってしまうものである。」と語る。

今回の会議では、2010年までに陸上の保護地、2012年までに海洋の保護域の世界的ネットワークを確立するという計画が、国際的に初めての合意をみた。この計画は、現在進行している未曾有の生物多様性とその生息域の消失を止めるための中心的役割を担うものとなる。同会議では、先住民族の権利の保障についての議論が充分にはなされなかったが、参加国の代表者たちは、先住民族や地域の人々の全面的な参与がいかなる決定プロセスにも不可欠であることに同意した。

また、裕福な国による海外開発援助は、生物多様性の保護と持続可能な利用に転換されなくてはならないことが今回の会議で確認されたことも、画期的な点として挙げられる。

さらに、海山と冷水域礁を含む海洋が、今回初めて生物多様性保護の対象として認められた。

今回のCBDCOP7開催にさきがけ、グリーンピースは、太平洋諸国と南米のパタゴニアの原生林破壊に焦点をあててきた。グリーンピースの船『虹の戦士号』と『アークティック・サンライズ号』は、世界に残された数少ない原生林の破壊の現場を訪れ、その惨状を伝える証人となった。

「グリーンピースは、今後も世界の森林と海洋環境に関する調査、記録、警告を行っていく。今回の国際会議での決定は、各国政府にとってのひとつの出発点にすぎない。各国政府が、手遅れにならないうちに、環境破壊を繰り返す企業の行動を規制し、生物の多様性を保護するための国としての責任を全うしていくのはこれからである。」と、グリーンピース・インターナショナルのマーティン・カイザーは語っている。

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