【タスマニア、ホバート2004年2月15日】オーストラリア、タスマニア州で原生林保護キャンペーンを展開しているグリーンピースとウィルダーネスソサエティーは、15日、午前5時に同州首都ホバートから北東26kmにあるトリアブンナ港で、王子製紙株式会社、日本製紙株式会社、三菱製紙株式会社などの日本の製紙企業への木材チップの輸送に抗議して、輸送船への積荷作業を阻止した。

グリーンピースのメンバー7人は、トリアブンナ港の木材チップを運搬するガントリークレーンに登り、「Stop global forest destruction/原生林破壊をやめよ」「Protect Tasmania’s ancient forests/タスマニアの原生林を守って!」 と英語と日本語で大きく書かれた2枚のバナーを広げ、木材チップ船への積荷を阻止し、原生林の保護を訴えた。


[写真]木材チップ輸送船の前の海上でタスマニアの原生林保護を訴えるバナーを広げる活動家たち
この抗議活動に参加しているグリーンピース・ジャパンのボランティア活動家、野田沙京は、「タスマニアの原生林破壊を一向にやめない ガンズ社 ( 注1 ) の木材チップ輸送を止めるために、私たちはこの行動を起しています。この抗議行動は、原生林を守りたいというタスマニアの人々の望みを政府が無視しているということを、日本の製紙企業に強く伝えるメッセージです。王子製紙、日本製紙、三菱製紙はタスマニアの多様な生態系を支える原生林保護のためにに、FSC認証を得た森林や持続可能な管理に基づいた人工林から生産される木材チップの購入へと切り替えることによって貢献できるはずです。」と語っている。

[写真]夜明け前、ボート上の野田沙京
野田沙京は、2003年11月12日以来、タスマニア、スティックス渓谷にある「グローバル・レスキュー・ステーション」と名付けられた世界一高い場所での「樹上座り込み」を続けているチームのメンバーである。スティックス渓谷で行われている大規模な皆伐による破壊的な森林伐採の現場を目撃してきており、今回、そうした破壊的伐採によって産出された木材チップの輸送現場を目の当たりにした。

「こうした原生林破壊が続いているからこそ、今週マレーシアで開催されている生物多様性条約締約国会議 ( 注2 ) に集まった各国政府が、地球上の生物の多様性を次世代へ引き継ぐための保護地のネットワークの設置を確立すべきなのです。」グリーンピース・オーストラリアパシフィックの森林問題担当レベッカ・ハバードは語っている。

タスマニアから輸出される原生林起因の木材と木材チップの量は、タスマニア州以外のオーストラリアの他のすべての州の輸出量の総量を上回っている。タスマニアにかつて存在した巨木を含んだ原生林は、いまやその20%しか残っていない。残された巨木を含む手つかずの原生林の半分は、伐採による破壊の脅威に直面している。



(注1) ガンズ社は、タスマニアで木材チップを生産し、世界で最も破壊的に広葉樹の伐採を行っている企業のひとつ。広葉樹の木材チップ生産者としては世界最大の規模を誇ると同時に、その森林破壊規模も世界有数となっている。オーストラリアの環境保護団体およびタスマニア州民の70%による強い伐採反対の意思表示があるにもかかわらず、ガンズ社はタスマニアの原生林の伐採事業を行うと同時に、原生林破壊から産出された木材購入にもかかわっている。

(注2)
国連生物多様性条約第7回締約国会議(CBD COP7 )は、2004年2月9日~20日マレーシアのクアラルンプールで開催されている。
グリーンピースは、 この生物多様性条約会議を重要視しており、地球上の生物多様性について話し合われるこの国際会議に向け、わずかに残された原生林に迫る危機と海洋資源の枯渇という二つの問題に取り組んでいる。生物多様性の保全、先住民族の権利および文化的多様性の確保には、各国政府が十分な資金を割り当てることが必要であると同時に、脆弱な環境域における大規模な産業活動を規制し、有効な管理体制と法的強制力のもとに保護地のネットワークを、2010年までに陸上と海の双方で確立することが必要であると各国に強く働きかけている。


ブリーフィング・ペーパー
世界で一番高い広葉樹を含む原生林の保護を!
-オーストラリア タスマニア スティックス渓谷-

現地写真・ビデオ
http://www.greenpeace.org.au/greenphotos/Triabunna_150204/
グリーンピース・ジャパン森林問題タスマニアサイト


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