国際環境保護団体グリーンピースは、本日から開催される生物多様性条約締約国会議(CBDCOP7)に出席する政府代表団に対し、地球上の生物多様性の保護とその保護のために十分な資金を投入することなどを訴えている。

生物多様性条約第7回締約国会議は、2004年2月9日から20日の日程で、マレーシア、クアラルンプールで開催される。この会議では、重要な議題の一つとして「保護地」に関する作業計画策定が討議される予定となっている。日本政府からは、環境省をはじめとした政府代表団が出席し、閣僚会合には、環境省の地球環境審議官浜中裕徳氏の出席が予定されている。

グリーンピースは、 この生物多様性条約会議を重要視しており、地球上の生物多様性について話し合われるこの国際会議に向け、わずかに残された原生林に迫る危機と海洋資源の枯渇という二つの問題に取り組んでいる。生物多様性の保全、先住民族の権利および文化的多様性の確保には、各国政府が十分な資金を割り当てることが必要であると同時に、脆弱な環境域における大規模な産業活動を規制し、有効な管理体制と法的強制力のもとに保護地のネットワークを、2010年までに陸上と海の双方で確立することが必要であると各国に強く働きかけている。

「各国政府は、次世代への大きな責務を担っている。地球上の生態系を支える森林と海洋の未来を確固たるものとするための機会として、各国政府は、この2週間を真剣に受け止めるべきで、ハーグ閣僚宣言 ( 注1 ) で表明した「2010年までに生物多様性の喪失を停止させる」、という約束を守るべきである。」と、グンピース・インターナショナルの政治部マーティン・カイザーは、語っている。

グリーンピースは、この数週間に、パプアニューギニアやインドネシアなどのアジア太平洋地域での違法伐採問題 ( 注2 ) や、南米チリのパタゴニア森林破壊の問題に焦点をあてた活動を行ってきている。これらは、地球上の生物多様性が急速に消失していっている重大な具体例である。

グリーンピース・ジャパンの森林問題担当、尾崎由嘉は、「日本は、違法や破壊的伐採から起因する大量の木材や紙製品の消費を通じて、世界各地の多様な生態系を支える原生林破壊に深く関わっている。日本政府は、こうした責任を再認識し、生物多様性の消失を食い止めるために、この会議の場でイニシアチブを取ることが必要とされている。」と語った。



(注1)
グリーンピースは、前回、2001年の生物多様性条約第6回締約国会議(CBDCOP6)で表明された2010年の目標である「締約国は、世界的にも、地域的にも、また国レベルにおいても、現在の生物多様性の喪失の速度を大幅に抑止させること」(ハーグ閣僚宣言)を実現させる為に、今回のCBDCOP7の重要な議題の一つとして討議される「保護地」に関する作業計画策定に注目している。

[写真]調査レポート表紙
(注2)
グリーンピースは、先週2月4日に、グリーンピース調査レポート「The Untouchables: Rimbunan Hijau’s World of forest crime and political patronage(英文)」を発表。伐採企業リブナンヒジャウ社が、パプアニューギニアをはじめ、ガボン、赤道ギニア、マレーシア、バヌアツ、インドネシア、ロシア、ニュージーランドでの森林伐採事業を支配しており、世界各地で森林破壊を進める最大級の企業のひとつとしてとりあげている。行なわれる事業には、数多くの違法行為と環境破壊の記録があり、また、先住民族の権利の侵害や政治腐敗などについて批判している。レポート(英文)は、下記からダウンロードできます。
ダウンロードページ(英文)


関連URL
・生物多様性条約事務局
http://www.biodiv.org/
・グリーンピース・ジャパン森林問題サイト

お問い合わせ
◆グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
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森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当     城川桂子