「原発の後始末に19兆円かかる」という報告がなされた経済産業大臣の諮問機関・総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会に対し20日、消費者団体・環境保護団体・脱原発団体の連合である「コストから原発を考えるプロジェクト」が「破綻救済の優遇策より原子力政策の見直しを」「原発の後始末に19兆円かかるという試算は不十分」として同分科会に意見書を送付した。

同分科会では、電力自由化のあり方を検討してきたが、原発の後始末である原子力バックエンドの経済措置についても検討することになっており、報告を受けて、23日から検討に入る。
報告は「原子力発電全体の収益性等の分析・評価としては、他の電源との比較において遜色はない」ものであるとまとめている。それが本当ならば、原子力への優遇策は必要ないはずだが、「コストから原発を考えるプロジェクト」は分科会ではそのまとめとは裏腹に様々な優遇策が検討されるであろうことを危惧している。

意見書では、「今必要なのは原子力政策の見直しであり、破綻を救済する優遇策を講じることではない」として、原子力政策、とくにコストのかかる再処理政策からの撤退に関しても検討できるように、再処理を一定期間延期した場合や、しない場合の試算なども行うことを提言している。
また、今回の試算では費用見積もりがされていない項目があるとし、再処理に伴って大量に発生する回収ウランの処理・処分費用、使用済みプルサーマル燃料の貯蔵費用もしくは再処理費用、ウラン濃縮工場から出る劣化ウランの処理・処分費用を挙げている。
また、試算の前提が、「使用済み核燃料の再処理の、40年間の100%稼働」となっていることは非現実的とし、見積もりの最低額と最高額の差も小さすぎ、説得性に欠けると指摘している。 (詳細は 意見書本文 参照)

同プロジェクトは9つの国内の消費者団体・環境保護団体・脱原発団体(核燃やめておいしいご飯/グリーン・アクション/グリーンピース・ジャパン(事務局)/原子力資料情報室/ストップ・ザ・もんじゅ東京/東電と共に脱原発をめざす会/日本消費者連盟/ふぇみん婦人民主クラブ/福島老朽原発を考える会)によって、コストに焦点をあてて、脱原発を訴えていこうと1月に結成された。今後も分科会を傍聴し、原発への優遇措置や税金投入への動きを監視していく。


意見書
原子力の後始末約19兆円という試算、また原発の後始末の諸問題を、あらためて徹底的に検証する必要があるのではないでしょうか? (コストから原発を考えるプロジェクト:1月20日)


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