【2003年12月12日 イタリア・ミラノ】12月1日からミラノで開かれていた気候変動枠組み条約第9回締約国会議(COP9)の閉幕にあたり、グリーンピースはロシアに対して、適切な行動をとり、京都議定書を批准している120ヶ国に加わるよう要請した。京都議定書を発効させ、それを拘束力のある国際法とするために、ロシアの批准が求められているのだ。

「プーチン大統領が今年初め、一国主義に抗し、イラクに対する違法な戦争に反対し、国際法を重んじる立場をとったことを我々は評価する。我々はプーチン大統領に対し、温暖化交渉においても同じ立場を取り、一国の利益よりも地球規模の持続的な社会の実現を優先して、京都議定書の批准を緊急事案として連邦議会に提出することを求める。気候変動問題は予断を許さない状況にあり、途上国を中心とした何百万という人々が、すでに気候変動の悪影響を受けている」とグリーンピースの政治部長スティーブン・ソイヤーは指摘している。

ソイヤーは更に「京都議定書の採択から6年を経、議定書の運用ルールが最終的に確定した。米国やオーストラリア、OPEC諸国の身勝手な介入により、京都議定書に関する合意が多くの面で弱められたことは否定できない。それでも、議定書は気候変動に対して世界各国が行動を始められる枠組みを備えている。我々は京都議定書の実施に向けて歩を進めている国々に賞賛を送り、他の国々もこれに続くことを促している」と述べた。

「プーチン氏とブッシュ氏は、世界を犠牲にしたまま身勝手な利益の追求にばかりに気を取られている。しかし京都議定書はロシアや米国だけの枠を超えて、世界全体の気候を守るための枠組みである。今や何十億という人々が、気候変動の危機にさらされている。海面上昇や気温の上昇がすすみ、干ばつや洪水によって被る損害が増大し、生態系が破壊されているのだ。」とソイヤーは強調する。

京都議定書は気候変動に対処するための今ある唯一の国際的計画である、しかし、最終的な目標を達成するためには、将来の約束期間において今後強化されなければならない。議定書は現在、遺伝子組換え樹木やモノカルチャー植林をクリーン開発メカニズム(CDM)のシンクプロジェクトに含めているなど多くの欠点があり、今後、温室効果ガスの排出を削減するためには、更なる努力が必要となるであろう。

「森林吸収についての最終合意は、環境にとってそれほどよいニュースはない。合意された規定は遺伝子組換やプランテーションの利用を含めるなど、社会や環境に対して破壊的なプロジェクトに広く門戸を開いてしまっているからである。グリーンピースはシンクプロジェクトから手を引くことを求めている。さもないと、将来は、その土地の地域社会や土地所有者を追い立てて、巨大な規模で本来の風土には異質の外来種の樹木によるモノカルチャー植林が広がってしまうことになるだろう。京都議定書それ自体が我々の世界を救ってくれるというものではない。しかし、最初の一歩を踏み出すのを遅らせれば遅らせるほど、地球に起こる不可逆的な被害を止めることは困難になる。」とソイヤーは警告する。

注:シンクについて (COP9背景資料)


関連URL
・グリーンピース・ジャパン地球温暖化問題Webサイト
・気候変動枠組条約第9回締約国会議(COP9)背景資料(2003年12月)
お問い合わせ
グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話 03-5338-9800  FAX 03-5338-9817
地球温暖化問題担当  関根彩子
広報担当  城川桂子


グリーンピース・インターナショナル
政治部長 スティーブン・ソイヤー
電話 +31 6535 04715
メディア・オフィサー ルイザ・フレイザー
電話 +61 409 993 568
エリカ・オーガスティンゾン
電話 +31 6 25031001