【イタリア/ミラノ、12月5日】 「雪氷圏」は氷と凍土からなる地球の一部である。それは氷の世界とも言える。2004年1月に発表される最新の研究によると、この世界は急速に失われつつあり、壊滅的な結果を招く恐れがある。

12月1日より開始されている国連気候変動枠組条約第9回締約国会議(COP9)の閣僚会合が10日、始まった。会合に参加しているグリーンピース代表団は閣僚会合に先立ち、地球上で最も温度上昇に敏感な極地でおきている深刻な影響について、雪氷圏の専門家と共同記者会見をおこない、近く出版される研究書「雪氷圏の収支」の内容を発表した。 概要

海面上昇により、バングラデシュで1,700万人の人びとが逃げ惑う世界を想像してみてほしい。あるいは、最後の氷が消失し、村の水源として氷河の解けた水に依存している村々が、ゴーストタウンとなった世界を。野生のホッキョクグマが絶滅する世界や、メートル単位の海面上昇により、沿岸での経済活動や暮らしが一掃されてしまった世界を。そして今度は、このような世界が、今日生まれた子供が生きている間に起る様子を想像してみてほしい――シナリオによっては、私たちが生きている間に起るということもある。これが温暖化する世界の、恐ろしい未来像である。

「雪氷圏の収支(Mass Balance of the Cryosphere)」(ケンブリッジ大学プレスより出版予定)は、23人の科学者からなるチームが執筆し、ブリストル大学のジョナサン・バンバー(Jonathan Bambe)とアンソニー・ペイネ(Anthony Payne)博士が編集した。この本は温暖化に敏感な「雪氷圏」という環境の主な2つの要素、すなわち氷床、氷冠、氷河という形で存在する「陸氷」と、「海氷」とに焦点を当てている。これらは短期的および長期的な気候の変化にとって重要な指標である。この本は、雪氷圏が一般に考えられているよりも気候変動に敏感であること、そして地球上ですでに確認されている劇的で不穏な傾向を私たちが、危険を承知で見て見ぬふりをしていることに警鐘を鳴らしている。

COP9では京都議定書のこれまでに積み残されている運用規則を決めるための議論がおこなわれているが、中でも重要と見られる課題についてグリーンピースの視点と主張をまとめた。 背景資料

昨年のヨハネスブルク地球サミットで見られた再生可能エネルギーに関する議論などいくつかの前向きな機運が生まれ、また現在のブッシュ政権の外部には温暖化対策に真剣なアメリカ人が大勢いる。これらのプラスの兆候を可能な限り早く、温室効果ガス排出削減に直結させなければならない。
閣僚会合に出席する大臣等がこの状況にどう答えることが出来るかが、今問われている。


関連URL
・グリーンピース・ジャパン地球温暖化問題Webサイト
お問い合わせ
グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話 03-5338-9800  FAX 03-5338-9817
地球温暖化問題担当  関根彩子
広報担当  城川桂子