【東京】国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンとオーストラリアの環境保護団体ウィルダーネス・ソサエティ-は、来日中のジム・ベーコンタスマニア州知事に対して、本日午後2時、タスマニアの原生林保護を要請する要請文をオーストラリア大使館(港区三田)に届け、オーストラリア大使館前で、「世界一高い広葉樹→紙!? タスマニアの原生林保護を! Protect Tasmanian Ancient Forests!」と書かれたバナーを掲げてアピールを行った。原生林の切り株の原寸大写真(注1)も同時に掲げられた。

タスマニア知事宛の要請文は、グリーンピース・ジャパンの森林問題担当尾崎由嘉とウィルダーネス・ソサエティ-のレアン・ミンシェルから、オーストラリア大使館、農業・水産業・林業担当参事官アレン・グラント氏に手渡された。要請文では、現在全く保護下にないスティックス渓谷を含むタスマニアの原生林での伐採を早急に停止させ、これら原生林をタスマニアの財産として適切に保護することなどを要請している。また、この自然遺産の保護によって、日本とオーストラリア間で文化交流や観光振興を高めていくことも求めている。

本日の行動は、11月12日より、オーストラリア南部、タスマニア島のスティックス渓谷で、同渓谷に存在する世界一高い広葉樹の地上65メートルの所にグリーンピースとウィルダーネス・ソサエティ-によって作られた「グローバル・レスキュー・ステーション」(注2)で呼びかけている原生林保護活動の一環である。地上から65メートルの樹上に作られた「グローバル・レスキュー・ステーション」には、世界4カ国から集まった環境保護活動家8人が寝泊りし、この世界一高い広葉樹を日本の木材チップ市場向けに伐採しないようにと訴えている。

「すでにタスマニアの住民の7割は原生林伐採に反対の声をあげてきているが、タスマニア州政府による対策はなんら取られていない。州政府は、タスマニアの財産を永久に失わないためにも、早急にタスマニア住民の声に耳を傾けるべきだ。グローバル・レスキュー・ステーションがなかったら、これらの森は、あと数ヶ月のうちに、伐採されてしまう。」と、ウィルダーネス・ソサエティ-のコーポレート・キャンぺーナー、レアン・ミンシュルは語る。

「日本の消費者も、数百年以上かけて形成された原生林を、瞬く間に破壊して作られた紙製品の必要性にすでに疑問を抱いている。オーストラリア政府と日本の購入企業は、タスマニアのスティックス渓谷とその他の原生林とその生態系破壊を止めるために、早急に対策をとるべきだ」と、グリーンピース・ジャパン森林問題担当の尾崎由嘉は語っている。

タスマニアの原生林の伐採は、オーストラリア最大の天然林伐採企業であるガンズ社(注3)によって進められている。同社は世界最大の広葉樹の木材チップ生産企業でもある。ガンズ社からの主な購入企業は、日本の製紙会社、王子製紙、日本製紙、三菱製紙であり、グリーンピース・ジャパンはこれら日本企業にガンズ社からの購入停止を求めている。また、グリーンピースなどの調査によると、大王製紙、中越パルプ工業などその他の製紙企業の購入も新たに確認されている。

グリーンピース・ジャパンは、現在、日本製紙、王子製紙、三菱製紙、およびオーストラリア政府に対してタスマニアの原生林保護をeメールで訴える、サイバーアクションを呼びかけている。これまでに、計600通以上のe-メールが送付されており、例えば「タスマニアの原生林から作られた紙は使いたくありません。 御社のイメージのためにも、コストは高くなるかと思いますが、ぜひ代替の木 材チップに切り替えていただきたく思います」などのメッセージが数多く送信されている。


原生林の切り株の原寸大写真: (Stumps of Slice-Tasmania, 2001-02)
国境なき写真家旅団の平野正樹氏の作品。同氏が撮影した実物大の原生林の切り株の写真(2.3mx1.8m四方)で、グリーンピースの活動に賛同し、写真の使用に協力。


「グローバル・レスキュー・ステーション」
タスマニア、スティックス渓谷の原生林の中の世界で一番高い広葉樹の地上65メートルの地点に、グリーンピースとウィルダネス・ソサエティーが設営した原生林の保護を訴える樹上基地。

設営された、11月12日から、日本、カナダなど4カ国から集まった8人の活動家がその木の伐採停止を求めて寝泊りしている。衛星通信機器を備えたこのグローバル・レスキュー・ステーションへは、報道関係者や世界の市民からのアクセスが可能である。地上65メートルの樹上へのライブインタビューも可能であり、また、樹上の動きをライブで伝えるウェブサイトへも、毎日アクセスができる。




ガンズ社: 本社オーストラリア、タスマニア州
タスマニアで木材チップを生産し、世界で最も破壊的に広葉樹の伐採を行っている企業のひとつ。ガンズ社は、タスマニアの原生林を破壊的に伐採し、毎年500万トンもの天然林からの木材チップを輸出している。そのほとんどが日本向けである。これまでにもオーストラリアの環境保護団体やタスマニア住民の7割が伐採に反対の声をあげてきているにも関わらず、オーストラリア社会のいかなる声も無視して、原生林破壊を止めることを拒みつづけている。

サイバーアクション

グリーンピース・ジャパンは、日本の方々に、日本製紙、王子製紙、三菱製紙、およびオーストラリア政府に対してタスマニアの原生林保護をeメールで訴える、サイバーアクションを呼びかけている。
「世界一高い広葉樹が日本の紙になろうとしています!タスマニアの原生林保護を! 」



現地の写真
http://www.greenpeace.org.au/greenphotos/
*ビデオ(放送対応)も手配できますので、ご連絡ください。

世界で一番高い広葉樹を含む原生林の保護を!
ブリーフィング・ペーパー  2003年11月


関連URL
・グリーンピース グローバル・レスキュー・ステーション Webサイト(英語)
http://weblog.greenpeace.org/tasmania/

・グリーンピース・ジャパン森林問題(タスマニア)Webサイト

・グローバル・レスキュー・ステーションからの活動日記(日本語)

・グリーンピース・オーストラリアパシフィック(英語)
http://www.greenpeace.org.au/

・ウィルダーネス・ソサエティー(英語)
http://www.wilderness.org.au/


お問い合わせ:
グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話 03-5338-9800 FAX 03-5338-9817
森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当     城川桂子
グリーンピース・オーストラリアパシフィック
電話 0061 2 9261 4666 FAX 0061 2 9261 4588
広報担当      ゾエ・ポーター(英語)
ウィルダーネス・ソサエティー
電話 61 2 9261 4666 FAX 61 2 9261 4588
広報担当 エド・マシュー(英語)
電話 61 409 854 417 または 61 3 0639 5499
コーポレート・キャンペ-ン担当 レアン・ミンシャル (英語)
電話 61 3 6231 6533
(在東京 11月10日から11月18日)