【6月28日、イラク、バグダッド】28日、グリーンピースは、バグダッド郊外のトゥワイサ原子力施設周辺の住民に安全な貯水容器を届け、人々に「イエローケーキ」と呼ばれる放射性物質に汚染された容器と交換するよう呼びかけた。

アメリカ陸軍は、容器1個につき3ドルで引き取ると住民に呼びかけて、放射能汚染された容器の回収を図っているが、住民の多くは未だに容器を保持している。米英軍によるイラク攻撃開始以降、この原子力施設から持ち出された500個の容器のうち150個が未だ行方不明のままになっている。新品の容器の値段は15USドルである。

放射能被害の対象になっている人々は、10年以上もの国際的な経済制裁とフセイン政権の圧政のもと、最も貧しい生活を強いられ続けてきた人々である。グリーンピースは安全な容器との交換を積極的に提供することで、行方不明になったままの残りの容器を回収して、米軍が駐留しているトゥワイサ原子力施設で安全に保管されることを望んでいる。

グリーンピースの放射能調査隊の数名は、トゥワイサ原子力施設近隣地域での活動を続けている。活動の開始からまだ2週間しか経っていないが、すでに恐ろしいほどのレベルの放射能を検知している。以下がグリーンピースの調査によるトゥワイサ原子力施設付近の現状である。

大型の「イエローケーキ」混合用キャニスター容器が村の一般の広場に放置されていた。中にはまだ4~5キロのウランが残されているものもあった。グリーンピースの調査団はこの容器を回収して、トワイサ原子力施設内に駐留する米軍の放射能専門家に届けた。
放射能に汚染された村の家々のなかには環境値の1万倍の放射能が検出された家もあった。
在校生900人の小学校付近から環境値の3,000倍の放射能が検出された。
放射能汚染された容器をまだ自宅に保有している住民がいる。
別の小さな放射能汚染物質が近隣から発見された。
放射能マークの貼られた器物が、村のあちこちに投棄されていた。
トゥワイサ原子力施設からの器物と接触した後、発症したとする異常疾患に関する一貫した証言が後を絶たない。

発見された放射性物質はいずれも通常の核兵器に使用できるものではなかった。

占領軍はイラクの公共衛生に対する責任は自分たちにあると主張しているが、国際原子力機関(IAEA)によるトゥワイサおよびイラク各地の全面的な健康と環境被害調査を拒否しつづけている。占領軍は健康に対する害はないと強調しているが、それが事実ではないことは明らかである。

「わずかの期間にグリーンピースが収集した証拠からも、放射能汚染がトゥワイサ一帯に広がり、多くの人々がその被害を受けている可能性があることが示唆されている。この問題は深刻に受け止められなければならず、放射能汚染の実際のひろがりと健康被害の状況が詳細に調査されなくてはならない。トゥワイサ原子力施設に駐留しているアメリカ陸軍のメランソン中佐が、グリーンピースが回収し届けた放射能汚染されたキャニスター容器を受け取った際にグリーンピースに語ったように、IAEAに対して全面的な調査権が委譲され、ツゥワイサ周辺の街や村の汚染除去作業が一刻も早く開始されるべきである。」(グリーンピース放射能専門家リアンヌ・ツゥール博士)

背景情報

6月24日、トゥワイサ原子力施設に駐屯する米軍のメランソン中佐はグリーンピースに対し、「IAEAと世界保健機関(WHO)が状況を調査することが望ましいと思う。以前ブラジルで放射性物質が地域に配布されてしまった時に調査に入ったように、早ければ早いほうがいい。」と語った。
バグダッドの南に位置するトゥワイサの原子力施設は、バグダッドが陥落してイラクが米英軍の占領下に入った際、適切な安全確保がなされなかった。それに比べ、石油パイプラインと石油省の建物は占領後直ちに保護された。また、戦闘終結直後、大英博物館職員は、以前盗難されたとする美術工芸品を回収にやって来た。IAEAの査察官がイラクに復帰を許された2ヶ月も前のことである。
米軍は村々の放射能調査を行った。健康調査は数日後に開始されることになっている。地域住民や現場の警護に当たっている兵士への健康への危険性は全くない』とアメリカの大量破壊兵器調査団のミッキー・フリーランドは語った。」と、6月6日付けワシントンポスト紙は報じている。
トゥワイサ原子力施設には通常核兵器に使われるものは残っていなかった。 そうした物質は湾岸戦争以降、IAEAによって除去されている。
詳しくは、グリーンピースイラク調査団のメンバー2人によるWeb上のイラク調査日記をご覧下さい。(英文)

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