日本原燃佐々木正社長が、六ケ所再処理工場で計画していたウラン試験の6月実施を断念した(東奥日報5月29日版による)との報道を受け、グリーンピース・ジャパンが日本原燃広報部に確認したところ、同広報部は、「6月に予定していたウラン試験は3か月から6か月延期される可能性がある」と語った。これにより、ウラン試験で使用する予定の劣化ウラン26トン(ケンタッキー州のパドウカとオハイオ州のピケトンにあるウラン濃縮工場で出た副生成物)はアメリカから海上輸送される予定で手続きも進めていたが、これも不透明になりそうだ。

グリーンピース・ジャパンの核問題担当鈴木かずえは、「設計、品質管理体制の確認も結構だが、安全を確保する方法は、計画全体の放棄しかない。使用済み核燃料プールや送り出しピットで不良溶接があって、より複雑な配管などの溶接が全て健全というのは考えにくいと思う。プールの不良溶接も業者からの情報がなければ発覚できなかった部分もあり、施設全体について再点検したとしても、本当に健全性が確保できるかどうかは疑問だ。これ以上コストをかけて作業するより、計画を放棄するのが経済的にも環境的にも良い。」と語った。

5月16日、共同通信は「原子力発電所の使用済み燃料を国内で再処理する総費用が四十年間で約十五兆九千億円に上り、そのうち約九兆千億円は財源捻出(ねんしゅつ)策が決まっていないとの試算を、電力業界団体の電気事業連合会(電事連)がまとめたことが、十五日明らかになった。」と報じている。この膨大な再処理コストを税金でもまかなってほしいというのが業界の本音と思われる。

しかし、5月24日付けの毎日新聞の速報は、5月24日にまとめられた自民党の「エネルギー政策小委員会」の報告では、核燃料サイクルは「コストの国際比較等を勘案し、柔軟に対処する」と報じている。

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