【ニューヨーク、5月7日】 6日、国連安全保障理事会は、チャールズ・テイラー・リベリア大統領の兵器売買の財源となっていた木材取引の停止を決定した。グリーンピースはこの決定を歓迎する。今回の安保理の決定は、既存の対リベリア制裁を更新するもので、7月7日より全ての木材輸出の禁止が、制裁の中に盛り込まれることとなる。

対リベリア木材取引制裁措置は、グリーンピースや他の団体(特に、英国を拠点とした人道支援団体グローバル・ウィットネスなど)が訴えていたものであり、今回の安保理による決定は、西アフリカの原生林破壊を引き起こしている根本的要因を打破するための重要な先例となる。「紛争の木材(Conflict Timber)(注1)」輸出の禁止という重大な措置の第一歩がなされる一方で、グリーンピースは、包括的で持続可能な解決策が取れるうちに、破壊的伐採によって悪化している環境および社会問題に取り組んでいくべき、と主張する。

2000年以来、グリーンピースは、ヨーロッパや北米を通じて行われている不正の兵器売買とリベリアの伐採企業の木材取引との関係を明らかにしてきた。更なる調査によって、グリーンピースは、木材産業(注2)にとって破滅的な証拠を新たに示し、「紛争の木材」の取引停止を要請するため、多くのヨーロッパの国々の港湾でリベリアからの木材輸送を封鎖する活動を行ってきている。2000年12月には、国連安全保障理事会で、リベリアに対する木材取引制裁の提案が持ち込まれたものの、リベリアからの木材の最大輸入国であったフランスや中国により拒絶されていた(注3)。

これまで多くの木材取引業者は、国連安全保障理事会が制裁措置を取る理由が十分でないと考えているとして、調査の新しい証拠が示されてもこれを無視する態度を取ってきている。これらの木材取引業者とは、オランダの木材伐採及び取引企業ヴィジュマ(Wijma)社、デンマークのDLHグループ、スイスおよびドイツのダンツェル(Danzer)グループなどである。こうした無責任な取引を行う木材業者の実態を明らかにしながら、グリーンピースは、今月7日に、ドイツの製材工場フリッツ・オッファーマン・ザーゲベルク(Fritz Offermann Sagewerk )工場と (ホルツインポート(Holzimport)工場に抗議している。この製材工場は、すでに昨年も同じような抗議を受けており、この時にグリーンピースが紛争の木材取引の連鎖の証拠を示した際にも、ファーマン(Offermann)製材所の責任者 ジャーゲン・オファーマン氏は、リベリアからの木材取引停止を拒んでいる。

「グリーンピースとグローバル・ウィットネスが、リベリアの木材と違法な兵器の売買が行われていること、および環境破壊が行われている証拠を明らかにしたにも関わらず、これら木材業者は、過去2年間にわたっていまだにリベリアからの木材取引を続けてきている。安全保障理事会が、兵器へと変わるこの法外な木材取引の問題をやっと認識し、7月には木材輸出が停止となる。これからは、リベリアからの木材取引き続ける企業は、西アフリカの地域紛争に関わることになるという認識を持つべきだ。」グリーンピース・インターナショナル森林問題担当フィリップ・ヴァーベレンは語る。

グリーンピースは、世違法で破壊的な伐採および取引を止めるための行動を起こ すよう、世界各国の木材消費者、木材取引業者、政府に呼びかけている。

詳しくはグリーンピ―ス・ジャパン森林問題Webサイトをご覧下さい。

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グリーンピース・ジャパン
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電話 03-5338-9800 FAX 03-5338-9817
森林問題担当:尾崎由嘉
広報担当:城川桂子

(注1)「紛争の木材」とは、反乱軍や正規軍、又は武装対立に加担した行政機関などによって、紛争中に捉えられた人質や拘禁者を対立グループとの取引の際に使用される木材のことで、紛争を長引かせるか、紛争を個人的な利益に利用するために使用される木材を指す。(グローバル・ウィットネスの定義より)
(注2)グリーンピース・インターナショナル(2003年4月)「Forest Crime File-Liberian Timber trade fuels regional insecurity 」
(注3) Pratt D.(2001年)Sierra Leone:Danger amd Oportunity in a regional conflict. Report to Canada’s Minister of Foreign Affairs.