プルトニウム・アクション・ヒロシマ、グリーン・アクション、グリーンピース・ジャパンなど日本の8NGOは、本日、主要なNPT締約国の大使館にアピール文を送り、「青森県六ヶ所再処理工場での大量のプルトニウム分離を進めないよう日本に要請を」と求めた。

イスラエル、インド、パキスタンを除き、核兵器保有国を含めた世界の大多数の国が締約している核兵器拡散防止条約(NPT)の再検討会議準備委員会が4月28日から5月9日の間、ジュネーブの国連支部で開催される。このアピール文は閉会までに基本的に全締約国に渡される予定。

2003年4月25日

[日本語訳] 全世界のNPT締約国政府へのアピール

六ヶ所再処理工場での大量のプルトニウム分離を進めないよう 日本に要請してください

わたしたちは、核兵器の拡散を憂慮する日本の市民団体です。広島 と長崎への原爆の破壊的効果は、日本人の共通の記憶として残って います。それゆえに私たちは極東――朝鮮半島と日本――に高まっ ている「核」を巡る緊張に対し大変憂慮しています。ほかでもな く、このことのために、わたしたちは今日皆様にお手紙を差し上げ るしだいです。

日本は、大量のプルトニウム民事利用計画を有しています。その計 画の実施は完全に行き詰まっているため、現在のところ日本ではプ ルトニウムの需要はまったくありません。にもかかわらず、日本は 大量のプルトニウム分離能力のある巨大な再処理工場の稼働を進め ようとしています。

六ケ所再処理工場は、非核保有国における大規模再処理工場として は初めてのものとなります。六ケ所再処理工場は、年間7トンのプ ルトニウムを分離する能力を持っています。(再処理能力800tU/ 年)

今こそ六ケ所再処理工場を止めなければなりません。工場の運転開 始予定は2005年です。今年(2003年)後半には劣化ウランを使用し た試験が始まることになっています。試験が始まれば工場は汚染さ れ、日本の再処理へのコミットメントはいっそう深まり、六ヶ所再 処理工場の本格運転を止めることがより困難となります。

日本はすでに膨大な量の余剰プルトニウムを保有しています。2001 年末には、日本は既に国内に4.1トンの余剰プルトニウムを保有 し、更にヨーロッパ(英仏)の再処理工場での日本のプルトニウム 蓄積量は32.4トンとなっていました。

六ケ所のプルトニウムは、日本の商業用原子炉で消費されることに なっていました。しかし、その計画はいまだに実施されていませ ん。この燃料を日本で初めて利用するよう予定されていた3県のう ち2県の知事は、その計画の事前了解を撤回しています。

そうこうしているうちに、この1月、日本の高速増殖炉計画――40 年以上開発を続けて合計で1時間の発電しか達成してこなかった計 画――が手痛い打撃を受けました。日本の高等裁判所が高速増殖炉 の原型炉である「もんじゅ」に対し、日本政府が出した設置許可を 無効としたのです。

「もんじゅ」は、2週間に核兵器1個分の核兵器級プルトニウムを生 産する能力を有しています。現在の日本の「原子力の研究、開発及 び利用に関する長期計画」には、高速増殖炉技術の商業化計画はあ りません。それにもかかわらず、日本政府は「もんじゅ」の早期運 転再開を求めているのです。

日本のプルトニウム管理実績には、いままでさまざまな問題があり ます。1994年、「もんじゅ」の燃料加工中に起こったプルトニウム 燃料製造施設(PFPF)での70kgのプルトニウム滞留とその後の除洗 作業の大幅な遅れがありました。当時の長崎市長はこの問題に対 し、プルトニウム管理が「あまりにもずさん」であると述べていま す。

今年、東海村再処理工場(120tU/年)で206kgの受払間差異 (SRD)が記録されました。(最近になってその差異は59kgに変更 されています)。日本のプルトニウム管理の今までのずさんさを考 えると、はるかに大規模な六ケ所再処理工場でのプルトニウム管理 に対する懸念はずっと深刻なものとなります。

アジアの安全保障を憂慮されるすべての国々に訴えます。日本の青 森県の六ケ所再処理工場におけるプルトニウム分離を進めないよう にただちに日本に求めてください。

世界を核兵器から解放するための皆様の粘り強いご努力に感謝いた します。そして、核不拡散体制の前に立ちはだかるさまざまな重大 問題について討議するジュネーブでのNPT会議に参加される締約国 として、このアピールにある私たちのお願いを考慮してくださるよ う望みます。

以上

伴英幸
原子力資料情報室共同代表

富山洋子
日本消費者連盟代表運営委員

アイリーン・美緒子・スミス
グリーン・アクション代表

木村雅史
グリーンピース・ジャパン事務局長

小山英之
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会代表

佐藤大介
ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン(NNAF)事務局長

大庭里美
プルトニウム・アクション・ヒロシマ代表

池島芙紀子
ストップ・ザ・もんじゅ代表

グリーン・アクション(スミス)
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