イラク攻撃反対の声が世界各地で急速に高まっている一方で、アメリカのブッシ ュ政権は対イラク攻撃の姿勢を変えようとせず、世界情勢は緊迫度を増している。 こうした状況の中、環境保護団体グリーンピースはイラク攻撃に反対する
公式声明を発表した。

グリーンピースは、アメリカの京都議定書からの離脱を後押しした石油会社、エ クソンモービル社を、世界の温暖化対策を妨害しているとして、「ストップエク ソンキャンペーン」を展開し、ブッシュ政権の石油産業との癒着の危険性を告発 してきた。今回のイラク攻撃もホワイトハウスが巨大石油資本に後押ししている 点を強く批判している。この視点に立ち、グリーピースはこれまでにも9 月に「必要とされているのは戦争ではない。平和と環境保護だ」、10月に 「ひとりの父からもうひとりの父への公開質問状」(ブッシュ大統領への手紙)などを公表してイラク攻撃に反対する立場を表明しているが、今回、緊迫する情勢の中でアメリカの対イラク戦争行使に対して態度表明をあらためて明確にしたのもの。

声明文の中で、グリーンピースはこの戦争に反対する理由として、
戦争は人間と環境に甚大な被害を及ぼす
ブッシュ大統領の目的がイラクの石油支配権であるのは明白
戦争は大量破壊兵器廃絶に対する有効な手段ではない
を挙げている。
又、同文の中で「大量破壊兵器を世界からなくし真の安全保障を築くための五つ のステップ」として、(1)核不拡散条約(NPT)の全面的発効と強化、(2) 原子力発電の早期廃止、(3)すでに存在する放射性物質の危険性を最小限に留 め、再処理をしている国々は核燃料の再処理はただちに中止すべき、(4)生物 兵器禁止条約、化学兵器禁止条約の強化、(5)再生可能エネルギーの開発をす すめ、化石燃料と原子力発電への依存を断つ、事を提案している。

これと同時に、1月27日には、グリーンピースの抗議船、虹の戦士号が、イギリ ス南部サザンプトンの軍港を封鎖し、湾岸に向かおうとしているイギリス海軍の 食料供給船、マグデレナ・グリーン号の出港を阻止した。虹の戦士号はサザンプ トンにある軍港、マーチウード港の出口に錨をおろして湾内に停泊する船の出航 を阻み、又インフレータブル(ゴムボート)でマグデレナ号に近づいて船の脇腹に 「NO WAR」とペンキで大きく書き付けて、戦争反対を訴えた。

「人の流す血より石油のほうに高い価値を置くこの戦争を断固阻止します。イラ クとの戦争によって世界から危険がなくなるわけではなく、かえってテロリズム への支援が増えるだけです。戦争は人間と環境を破壊し、ブッシュとエクソンモー ビルのような石油会社を喜ばすだけです。」と、グリーンピース・イギリス事務 局長ステファン・テインデイルは語っている。

又、グリーンピースは、国連安保理に対してイラク攻撃に対する決議を否決する ことを要請。インターネットにアクセスできる世界中のすべての人々に、安保理 のメンバー国の大使にメッセージを送り、国際法を尊重し、アメリカのイラクに 対する攻撃を承認しないよう要請するサイバーアクションを呼びかけている。

グリーンピース・ジャパンをはじめとするアメリカ、イギリス、スペインなど各 国のグリーンピースはNGOと連携してイラク攻撃反対の抗議行動を各国で展開し ている。

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広報担当:城川桂子