【8月31日、南アフリカ、ヨハネスブルグ】 ヨハネスブルグ、サントンの会議場では、会議が深夜に及ぶにともなってNGOと報道陣は事実上サミットのすべての審議から排除された。会議全体を覆う空気は重い。これまでになされた約束という約束が、主に年配の男性の支配するのんびりした活気のない会議の犠牲になって、明確な目標は薄めに薄められ「勧告」に姿を変えてしまい、行動への呼びかけは抜け道だらけの意思表明の文章に化けた。明日には各国の国家元首が到着する。サミットを自らの手を汚してぶち壊すことは、どの元首もしたくはないだろう。彼らが到着するまでに破壊工作が遂行されていることが彼らにとっては最良なのだ。

しかし、ヨハネスブルグの街頭には全く違う空気が漂っている。土地、食糧、雇用、クリーンな環境を求めて街頭へ繰り出した数万の人々は、怒れる民衆であったと同時に、未来への希望を歓呼する民衆でもあった。この日のデモは平和に行われた。しかし、暴力や警察の反動を恐れてデモに参加しなかった人は大勢いた。警察は先週、土地を持たない人々が行ったデモに対しては、催涙弾や暴動鎮圧用の衝撃砲(stun grenade)を使ってデモを鎮圧した。

警察は今日、サントンの会議場とショッピングセンターの周りに、デモ隊を散らすための放水砲、有刺鉄線ならぬカミソリのついた鉄線、戦車、装甲車、機関銃、ヘリコプターなどで武装した包囲網を築き、警備態勢を敷いた。厳重に武装警備されたサントン内での一般と各国代表団によるショッピング、高級レストランでの消費は衰えていない。会議場から外へ出て、デモ行進に参加した代表団のメンバーは、武装チェックポイントを通過して別世界へと入ることとなった。「白い大理石の輝きに飾られたサントンの内側と、埃まみれの掘っ立て小屋が乱立するアレキサンドラの町の両方を私は目にしました。この会議が議論しなければならない不平等な格差というものは、サミット会場から半径8キロ以内にはっきりと目に見えるかたちで存在しています。」とデモの参加者のひとりは語った。

「怒りを露わにした人が大勢いました。」と報告するのはグリーンピースのジャノス・マトゥ。「そして驚くほどの熱気に溢れていました。あの場所に居合わせることができて幸せです。様々な色彩、友愛意識、太鼓の鼓動、歩道を埋めた人々も太鼓の鼓動に合わせて歓声を上げ、身体を動かしていました。人々は土地、食糧、雇用などの重要な意義を携えて集結しているのだという感覚を共有していました。驚嘆すべき気魂を体感しました。」

掲げられたひとつのバナーにはドル記号をあしらった“$持続的破壊のための世界$サミット”というメッセージが見受けられ、デモ行進全体も、有意な結果がこの会議からは望めないという雰囲気を反映して、このような皮肉たっぷりのメッセージで彩られていた。

この日のデモ行進は、国連の企業利益保護の傾向に反対する“A31”というグローバル行動の一環として行われた。「ダウ・ケミカル、モンサント等大企業の最高執行責任者たちと、彼らの業界の組織団体は会議場の廊下を自由に徘徊し、国家間の公式な交渉に参加している。市民社会はその間、立ち入りを禁じられ、締め出され、事実上排除されているので、街頭で意思表示をしているのです。」と語るのはグリーンピースの科学顧問のドリーン・スタビンスキー女史。「国連は、経済的利益を代弁することを抑えて、世界に暮らすより多くの人々の声を代弁しなくてはなりません。」

各国代表団が、再生可能エネルギーや生物多様性を保護する方策、貿易協定をより環境負荷の少ないものにするため等の妥協案を巡って話し合いを続けるため、審議は今夜遅くまで続く見通しだ。

デモ参加者のニュージーランドのアネット・コッターは言う。「今日街頭でデモ行進を行った人々が、地球の代弁者として会議に参加することが許されていたならば、会議場は楽しく明るい笑い声に包まれ、人は舞い、そして何よりも意義と効果のある行動を生み出していたことでしょう。」

詳しくはグリーンピース・ジャパン、ヨハネスブルグ・サミットWebサイトをご覧下さい。http://www.greenpeace.or.jp/campaign/earthsummit/

お問い合わせ:
グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11 NFビル2F
電話 03-5338-9800
FAX 03-5338-9817
ヨハネスブルグ・サミット担当 福田未来子
広報担当           城川桂子