ニューヨーク州/アメリカ合衆国発: 歴史上最悪になる企業大災害を1984年インドのボパール市で引き起こした旧ユニオン・カーバイドの当時の最高執行責任者(CEO)ウォレン・アンダーソンが、ニューヨーク州の高級住宅地で、優雅な生活をしていることがわかった。インドの司法当局は以前から2万人以上の死亡に責任があるとして、業務上過失致死罪でアンダーソンの身柄の引渡しを求め続けている。

数千人の命を瞬時に奪い、生涯に渡って後遺症に苦しむ12万の人々をつくり出した、ボパール工場の爆発事故以降、ウォレン・アンダーソンはアメリカ本土に逃亡している。

グリーンピースはアンダーソン氏を自宅に訪ね、「逮捕状」を手渡した。イギリスの新聞社が独自の捜索によって、わずか数週間で、ニューヨークに住む彼の居所を突き止めたのだった。アンダーソン氏は過去11年間にわたって業務上過失致死の罪で、インド政府から身柄を求められている。彼がボパールの犯罪に関連して法廷に立ったことは、今まで一度もない。それだけではなく、ボパール工場と同型のアメリカ、ウエスト・ヴァージニア州の工場で適用されていた安全基準を、なぜボパール工場でも適用しなかったのかという質問にも応えていない。

グリーンピースのキャンペーナー、ケイシー・ハレルは、アンダーソン氏の邸宅を訪れて彼と面会したが、アンダーソン氏は大災害についてのコメントを拒否した。「ジャーナリストとグリーンピースの合同チームがインド最大の指名手配犯をわずか数日のうちに探し当てることができるのなら、アメリカ当局は過去11年間彼の消息を掴むための努力をどれだけ真剣にやってきたのだろうか。エンロンやワールド・コムのような、経済的な企業犯罪に対しては速やかに対処したアメリカだが、インドのボパールで2万人以上を死に至らしめたアンダーソンを探し出す努力をしてこなかったのは明らか。」とハレルは語る。

ユニオン・カーバイドの殺虫剤工場が夜間の爆発事故で、40トンもの致死性ガスをボパールの街の空気中に放出したひとつの要因は、ガスの漏出を防ぐために設計されたはずの6重の安全装置が故障していたか、スイッチが入っていなかったか、または設計そのものに欠陥があったかのいずれかである。被害が拡大したもうひとつの理由は、万が一の事故に備えて、市民に危険を知らせる警報サイレンのスイッチが切られていたという。ユニオン・カーバイドの事故に対する対応は、生存者にほんのわずかの補償金を払って、何トンもの有害化学物質を放置したまま工場を放棄して逃げ出すことだった。後に残されたボパールの街は、今日に至っても有害化学物質に汚染されたままで、新たな被害者を出し続けている。2001年、ユニオン・カーバイド社はダウ・ケミカルに買収・合併されることにより、その社名を廃棄した。

.アメリカ合衆国とインドの両国に迅速な対応を求めて、グリーンピース・インドのガネシュ・ノチュールは呼びかける。「ウォレン・アンダーソンの住所がわかった今、インド政府は速やかに、また公式に、業務上過失致死の罪でアンダーソンの逮捕と身柄引渡しに向けて動き出さなければならない。アメリカは二カ国間の身柄引渡し協定に従って、アンダーソンの身柄を送還しなければならない。そして、ユニオン・カーバイド改めダウ・ケミカルはボパールで起こした犯罪の責任をきっちりとるべきである。」

関連情報:
インド、ボパールの工場での化学物質拡散事故の調査結果発表 (1999/12)

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広報担当       城川桂子