外務省から国会に提出されていた「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)」が、本日国会で承認された。日本政府は、ヨハネスブルグサミット(WSSD、8月26日~9月4日)までの条約の締結を目指しており、今後、必要な手続きが終了次第、国際連合へ寄託が行われる予定。グリーンピースはこれを歓迎する。

この条約は、英語の Persistent Organic Pollutants の頭文字をとって POPs 条約とも呼ばれている。POPs とは毒性が強く、環境中で分解されにくく、生物に蓄積しやすい性質をもった化学物質の総称で、日本語では”難分解性有機汚染物質” または “残留性有機汚染物質” と訳されている。ダイオキシンやPCB類など、最も毒性の強いことが知られている物質もPOPsの一種であり、予防原則の見地からこのような物質の段階的全廃を謳っているこのPOPs条約の持つ意味は非常に大きい。

グリーンピースは、1998年から国連環境計画の主導により行われた5回の政府間交渉会議に参加し、環境保護団体としての意見を述べてきた。そして2001年5月23日、スウェーデンのストックホルムで「難分解性有機汚染物質に関するストックホルム条約」が採択されてからは、この条約を発効させるために必要な50ヶ国の批准を集めるため、世界各国でロビー活動、大きなキャンペーン等を行ってきている。

グリーンピース・ジャパン有害物質問題担当の佐藤潤一は、「日本政府は、2001年にこの条約がストックホルムで採択される際、署名すらしなかった。世界中で次々に批准を決める国が増えてきたところで、世界各国の流れに同調するよう、ヨハネスブルグサミット前までに締結を承認したことは評価できる。しかし、批准を決めるだけで、国内での実際の行動がこの条約に沿わないものでは意味がない。例えば、この条約の中で、焼却炉がダイオキシンの主排出源として挙げられているが、日本は“最新のテクノロジー”として次々に焼却炉の建設を進めている。だが、ダイオキシンをゼロにする焼却炉など存在しない。本当に、POPs 条約を国内で施行していく決意であれば、ダイオキシンをゼロにするために、ごみ問題の根本的解決を目指さなければいけない。」と述べている。

今後も、グリーンピースはいち早くこの条約を発効させるよう、世界的に活動を続けていく。

詳しくはグリーンピース有害物質問題Webサイトをご覧下さい。

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有害物質問題担当 佐藤潤一
広報担当 城川桂子