グリーンピースは、6月27日午後2時、MOX燃料の輸送の危険性を訴えて敦賀港 蓬莱岸壁に6月25日より停泊しているグリーンピースの「アークティック・サン ライズ」号(オランダ国籍、949トン)船上で記者会見を開いた。

会見は同号甲板上で行われ、MOX燃料が高浜に到着した1999年に同号で抗議活動 を行ったピート・ブケット船長よりのあいさつに始まり、木村雅史グリーンピー ス・ジャパン事務局長、グリーンピース・インターナショナル核問題担当のトム ・クレメンツ、グリーンピース・ジャパン核問題担当の鈴木かずえ、グリーンピー ス・オーストラリア核問題担当のジェームス・コートニー、アークティック・サ ンライズ号乗組員でアルゼンチン出身のルチアナ・コルシオがそれぞれ輸送の危 険性を訴えた。

「データねつ造プルトニウムMOX燃料の返還が予定されているが、核物質の輸 送は危険であり、止めたいと考えている。『アークティック・サンライズ』号は この返還に抗議しにきた。」とトム・クレメンツは「アークティック・サンライ ズ」号来港の主旨を語った。

更に、トム・クレメンツは、「日本には現在約38トンのプルトニウムがあり、こ れは、非核保有国としては一番多い量である。日本政府は、プルトニウム計画は 余剰プルトニウムを減らすためというが、グリーンピースの予測によれば、プル トニウム計画がすすむことで、日本の余剰プルトニウムはさらに増える。この核 拡散の問題は地球規模での大問題だ。また、この輸送には、カリブ諸国、太平洋 諸国が反対をしている。事故やテロの脅威、また、事故時の賠償体制があいまい なことも沿岸諸国を憂慮させている。日本のみなさん、福井のみなさんにそれを 伝えたいし、警告したい。」と語った。

記者会見
写真〜Greenpeace/Sutton-Hibbert
続いて、グリーンピース・ジャパン核問題担当の鈴木かずえが、「福島では福島 県知事が今年のプルトニウム利用はありえないと明言し、新潟では、刈羽村村長 が、『村民を裏切ることはしない』と村議会で明言しているが、品質管理データ をねつ造した英国核燃料会社BNFL社は返還によってねつ造事件を水に流そうとし ているのは許せない。返還が行われれば、凍結している計画が動き出すきっかけ になる。また、輸送には、●事故やテロの危険性 ●事故時の賠償体制があいま い などの問題もある。」と述べた。

輸送の沿岸国にあたるオーストラリア出身のジェームス・コートニーとニュージー ランド出身の乗組員、ルチアナ・コルシオは、輸送経路沿岸諸国の住民の憂慮を 代表してMOX輸送に強い反対の意を表明した。 又、現在、この輸送を止めるた め、グリーンピースのイギリス支部が、輸送差し止め仮処分申請を検討しており、 この輸送を「廃棄物輸送」か「返品燃料輸送」を精査中の英国環境庁からの結果 精査を待って申請するかどうかを決定する事も発表された。

「アークティック・サンライズ」船上には、地元テレビ3局など10社以上が訪れ、 返還容器搭載の船の出港が間近に迫った、地元メディアの関心の高さがうかがわ れた。記者会見終了後、取材班は「アークティック・サンライズ」号船内を案内 された。

同船では来る6月29日(土)(10:00-17:00)、6月30日(日)(10:00-15:00) に一般公開が予定されている。

尚、同会見場でグリーンピースより以下の資料が参加各社に配布された。 「プルトニウムの返還の意味するもの」「BNFL(英国核燃料会社)社の船舶の安 全性について」「プルトニウムMOX燃料―核兵器への転用が可能なプルトニウム」 「日本のプルトニウム在庫量:過去、現在 そして未来」「米州機構の第32回 通常総会(バルバドス、2002年6月2-4日)における決議からの抜粋」「外 交・共同体関係理事会(COFCOR)のカリブ海経由の核・放射能廃棄物の輸送に対 する声明」グリーンピースより関西電力宛の「データねつ造プルトニウムMOX燃 料の英国へ返還中止を求める要請書」「環境の放射能汚染に反対するカンブリア 人の会」から関西電力宛の「データねつ造プルトニウムMOX燃料の英国へ返還中 止を求める要請書」他。

詳しくはグリーンピース・ジャパンのホームページ、核問題サイトをご覧ください