*以下のプレスリリースはグリーンピース・インターナショナルの2002年1月8日および1月24日のプレスリリースをグリーンピース・ジャパンがひとつにまとめたものです。
カリフォルニア州ロスアンジェルス発

本日、9人のグリーンピースの活動家たちに、2001年7月14日にカリフォルニアのバンデンバーグ空軍基地でのミサイル発射試験に対する平和的抗議行動(1)を行なった際に、軍事基地に入ったとして有罪判決が下された。

抗議行動
ただし、9人全員に一年の執行猶予が与えられた。また、罰金は課されず、全員の帰宅が許されることとなった。今朝、ロサンゼルスで判決に先立ち、9人は、米国のスターウォーズ計画(防衛ミサイル構想)が新たなる核兵器競争の引き金になることへの危惧から、平和的抗議行動を実行したこと、グリーンピースは、今後もこの計画への抗議活動を続けることを主張した。

一方、2人のフリーランス・ジャーナリストを含む他の7人には、4月15日に判決が下される予定である。これに関し、米国司法省は、全員または何名かは禁固刑となり得ると発表している。 「9人の活動家が解放され帰宅できることになったことを心から嬉しく思う。しかし、米国司法省は他の活動家とジャーナリストに対する執拗な取り調べを続けている。」グリーンピース・インターナショナルの軍縮問題担当のマイク・タウンズリーは言う。「全員が同罪で訴えられていたのだから、判決も同じで解放されるべきだ。既に取り下げされてはいる(2)が、もともと当初からこの件で重罪が科されるなどおかしかったのだ。今となっては、誰かを禁固刑に科すという正当な理由など見当たらない」(3)

文中注
最初にグリーンピースの活動家が、「Stop Star Wars」(スターウォーズをやめろ)のバナー(横断幕)を掲げ、空軍基地のある海岸へと泳いではいった。その間に、グリーンピースのダイバーが潜水し、他のものはゴムボートにより接近し、ミサイルの発射経路を妨害した。
2002年1月8日、米国司法省は、平和的抗議活動のために米軍基地敷地内に入ったグリーンピースの17人に対して、重罪に値すると起訴していたが、重罪に対する訴えに関しては取り下げた。
計15名の活動家は、米国、英国、スウェーデン、インド、オーストラリア、ドイツ、カナダ、ニュージーランドから集まったメンバーである。フリーランスのジャーナリスト1名は英国、もう1名は米国在住のスペイン人である。
参考

米国のスターウォーズ計画に対して平和的抗議行動を行ったジョン・アギラーの手記

今回、生まれて初めて逮捕される、という経験をし、この半年間、アメリカの裁判制度がどんなものかを経験した。

興味深い経験だったかって? 早朝3時に監獄で朝食をもらい、重罪になるかもしれない動向を見守っていたよ。それも、非暴力の平和的な抗議行動をした、っていう罪でね。僕としては、軽犯罪が適当だと思っていたんだ。家には、連れ合いとその連れ子2人に加え、今度生まれたばかりの赤ん坊がいるから、ぼくが唯一の稼ぎ手なんだ。この現実を考えながら正当な結果を期待していたさ。

もともと僕が参加したのは、ブッシュ政権が本当は自国の防衛になんかならないはずの計画に、僕らの税金をつぎこんでいることに抗議しなければ、と思ったからなんだ。

今回のこれとで、ぼくが活動を止めるかって?答えは”ノー!”だ。でも、家族がいるからこれからはもっと闘いのチャンスを選ぶことにするつもりだ。現状では、どうも米国政府は恐怖感から、アメリカの旗を持って「God Bless America!(アメリカに神の祝福あれ!)」と叫ばないような奴を迫害するような傾向にあるよ。

スターウォーズ計画に対しての抗議は、グリーンピースでのぼくの最初の行動であったと同時に、実際に身を持って乗り出した最初の行動でもあったんだ。新米の活動家ってことになるのかな?ぼくは、教養ある、第三政党に投票する、肉食の、家族主義の男さ。中西部で育った。祖父はバプティストの説教師で、ぼく以外は家族みんなが共和党に投票している。 (経歴を簡単に紹介すると、)4年間海兵隊に勤め、陸軍の空挺部隊には2年間いた。パナマとハイチの軍事活動にも従事して、数々の賞を受け、召還、名誉除隊を受けたんだ。イスラエルではテロリズム政治と核兵器について学んだし、今は国内および国際的な時事的問題に強い関心を抱いている。つまり言いたいのは、ぼくの考えや信念は教養に裏づけられたものだってこと。そして、米国市民としての権利を主張する。

15ヶ国に住んで旅してみて、海外における米国の政策と行動をずっと見つめてきたんだ。酷い失敗も何度も見たし、素晴らしい成功もあった。でも、ミサイル防衛計画は、最大の失敗だと思う。もともとは冷戦体制化での政策下で作られたモンスターのようなものだ。 …米国の政治家は、酷い内戦下にあるセルビアの若者に意見を求めたらどうだろう? 銃弾に曝されているパレスチナの若者とか、自縛テロから逃れて生き延びている妊婦の嫁を持つ母親とか、捕った魚が腐る前に冷凍庫を閉めさせてくれと米軍士官に懇願しているパナマの漁師とか、いろんな人と話しをしてみたらいいんだ。そうすれば、きっと黒か白か、って決めている政策がもっと灰色だって気付くに違いない。莫大な金を使ってミサイル構想に使うよりも支援の手をさしのべて、政策を押しつけるよりも対話をした方が賢いことに気付くだろう。

この半年でぼくが学んだのは、結局は自分しか自分を変えることなどできはしない、って事だ。でも、そのためには、自分の子供が将来、無知であることから脅威に晒されるかもしれないと感じた時のために常に準備をし、実際に行動を起こすことを惜しまないことが大事なんだ。大切なのは、子供に、どんな疑問に対しても答えを求めようとする気持ちを持ち続け、恐怖を感じることなく腕を広げて世界に飛び出していっていいんだ、ということを教えてあげることだ。

ジョン・アギラー