国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンと山口県の「長島の自然を守る会」、瀬戸内海の埋め立ての禁止などを目指している「環瀬戸内海会議」は、2001年12月19日、中国電力株式会社本社(広島市)を訪れ、上関原発建設予定地が貴重で繊細な生態系を有していることから、計画に伴う調査については、事前に公表して一般市民・科学者による環境影響についての検討を保障し、また、環境影響について、中国電力株式会社としても具体的に検討し、その結果を公表することを求めました。

応対した中国電力株式会社広報室は「まだ具体的な調査の方法は決まっていない。公表の時期については、約束できない。調査後、現状復帰となっているので、影響はない」などと述べました。
ただし、申し入れ後、グリーンピース・ジャパンが電話で確認したところ、計画公表の時期について、同室は「個別の計画を、実行の何日前に公表すると約束はできないが、一般の検討の重要性は認識している」と述べました。

しかし、詳細調査には、原子炉設置予定位置および周辺などの地質調査のためのボーリング調査・試掘坑調査、原子炉設置予定位置全面などの海域の地質調査のためのボーリング調査が含まれます。そのためにはボーリングのための重機持込のための道路建設や、桟橋の建設も行われると予想されます。
予定地は、ハヤブサなどの希少猛禽類の餌場であり、新種や希少種のカクメイ科貝類や、水産庁レッドデータブック登載(危急)のナメクジウオが棲息し、国の天然記念物であるスナメリ(小型クジラ)の繁殖場である可能性が高い場所であり、工事や調査がそうした繊細な希少生物に与える影響は壊滅的となるおそれがあります。

「グリーンピース・ジャパン」では、「現状復帰だから影響ない」というような中国電力株式会社の姿勢を厳しく非難し、上関原発予定地の環境を守るべく、監視・調査活動を続けていきます。



【参 考】
詳細調査にあたっては、山口県による各種の許可が必要となってくるが、山口県知事は国に提出した知事意見の中で「県としては、発電所建設に不可欠な用地の取得がなされるまで、事業者である中国電力が、当該用地に係る立地に必要な県への許認可等の諸手続を進めることは到底容認できないと考えている。」と述べており、土地の取得のめどが立っていない現段階では詳細調査を始める段階にない。中国電力株式会社広報室も19日、「土地の取得が先であることは常識であると考えている」と述べた。