12月17日、国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、青森県を訪れ、ウラン・プルトニウム混合酸化物 (MOX) 燃料加工工場の青森県への受け入れをしないように申し入れた。

現在、青森県内や全国の、原発の使用済み核燃料再処理工場を止めたいと考えている市民グループは、「とめよう! 再処理全国ネットワーク」の設立に動いているが、その準備会は、同主旨の青森県知事宛て要請書を青森県商工観光労働部資源エネルギー課に手渡した。(要請書参照)

グリーンピース・ジャパンの核問題担当の鈴木かずえは、イギリスの新しい MOX工場の汚染問題などを巡ってアイルランド政府がイギリス政府を訴えた件を報告し、MOX工場を受け入れないように求めた。(ブリーフィング・ペーパー参照)


* ブリーフィング・ペーパーの1ページ目「アイルランド政府による英プルトニウム新燃料工場稼動中止を求める裁判はこれから」
* ブリーフィング・ペーパーの2ページ目の海洋汚染シミュレーション図は、http://www.greenpeace.org/~nuclear/ospar2000/html/content/ospar00/model.html




青森県知事 木村守男様
2001年12月17日

再処理とめよう! 全国ネットワーク設立準備会


六ヶ所村では、再処理工場の建設が急ピッチで進められています。加えて先ごろ、日本原燃よりMOX工場建設の申し入れが行われました。しかし、1995年の「もんじゅ」事故以来、我が国の核燃料サイクル事業は、足踏み状態です。海外で再処理したプルトニウムを使用したMOX燃料の装荷の目処も立たず、日本のプルトニウム保有量は増大する一方です。この上、六ヶ所村再処理工場を、ほんとうに稼動する必要があるのでしょうか。そこで抽出したプルトニウムを、MOX燃料に製造加工したところで、いったいどこの原発に装荷できるというのでしょうか。

海外に目を向ければ、核燃サイクル事業、とりわけ再処理による環境汚染はただならぬものがあります。とうとうイギリス政府は、BNFL社の新MOX工場を巡って隣国アイルランドにより国際海洋法裁判所に訴えられました。

六ヶ所村再処理工場では、東海村再処理工場の10倍もの規模の環境汚染が予見されています。原発では厳重に閉じ込められるはずの、セシウム、ストロンチウム、クリプトン、キセノンなどの核分裂生成物や、プルトニウムなどのα放射体、大量のトリチウムなどが、再処理工場では海や大気中に放射されていきます。原発立地地域では、許されない種類の、大規模の環境汚染が、六ヶ所村や青森では、なぜ、許されるのでしょうか。その上、大地震の襲来や国際テロの脅威に住民はおびえさせられるのです。ただでさえ、東海村再処理工場は、事故続きでした。1997年の放射性廃棄物処理施設での火災爆発事故の惨状を、知事は決してお忘れではないと思います。

電力需要の低迷の時代に入り、電源設備計画の大幅な変更が続出し、電源地域の経済に大きな痛手を与えている実例は、福島県などの動きに表れています。

同じ轍を踏まないために、知事の賢明なるご判断をと願う次第です。

MOX燃料加工工場を受入ないでください。
六ヶ所村再処理工場の建設を中止させてください。
使用済み核燃料の受け入れを中止してください。