【南緯63度、東経52度発】

グリーンピースは、本日南極海において、捕鯨船が捕獲したクジラを日新丸に渡鯨しようとするのを阻止するために、船外機付きのゴムボートで捕鯨船と母船・日新丸の間を幾度となく往復し、捕鯨中止を求める活動を展開した。
この間、捕鯨船は高圧の放水機でゴムボートの運転手を攻撃したため、海に投げ出されそうになる危険な場面もあった。

アークティック・サンライズ号の2艘のゴムボートは、捕鯨船が日新丸にクジラを引き渡し、日新丸後部のスリップウェイからミンククジラを引き上げようとしているのを止めようとした。放水の威力はかなり強く、ゴムボートの運転手の視界はかなりせばめられた。捕鯨船はまた、木のブロックを海中に落として曳いたが、これがもしゴムボートのプロペラにひっかかれば危険である。捕鯨船は、「Danger. Keep out(危険、離れて下さい)」と書かれたメッセージを提示していた。

一方、グリーンピースのヘリコプターは、追鯨中の捕鯨船を発見し、捕鯨砲を発射し、銛をミンククジラに撃ち込んでいる貴重な映像を初めてとらえた。これは、グリーンピースが20年以上に渡って捕鯨の現場を監視してきたなかで初めてのことである。
映像は、40分以上クジラを追いかけまわし、繰り返して銛を撃ち続け、6発目の銛がクジラに命中し、すぐに捕獲した様子を映し出している。

グリーンピースはかねてより、日本政府が実施しているこの捕鯨が、単純な調査目的ではなく、鯨肉を確保する目的で行っている「商業捕鯨」であると、商業捕鯨に反対する立場から、この調査捕鯨についても強く反対している。本格的な商業捕鯨が再開すれば、採算性を優先するのは当然であり、捕鯨会社は捕獲枠を遵守することなど考えないであろうと確信している。また、水産庁は、この調査捕鯨が国際捕鯨取締条約第8条で認められた正当な調査捕鯨であるとしているが、同条約の協議機関である国際捕鯨委員会総会は、この捕鯨を、「非致死的な調査に切り替えないのであれば、中止するよう」勧告を採択し続けている。国際社会が、この捕鯨の主目的は科学ではないのだと認識している証拠である。

このため、アークティック・サンライズに乗り組んでいるキャンペーナーの広野祐子は、小泉総理大臣に対し、水産庁がこの商業捕鯨を「合法的な調査であると標榜していること」を止めさせるよう要求した。

水産庁が、いくらこの捕鯨を「科学調査である」と言い募っても、商業捕鯨再開のための資源調査であることは彼らの発言でも明らかである。それだけではない。日本政府は、IWC総会での得票数確保のため、ODAを利用して票買いを行い、支持票を着実に増やしている。日本政府は、来年下関で行われるIWC総会で優勢を勝ち取りたいと望んでおり、このまま票買いが進むと、早晩商業捕鯨が再開され、やがては世界のクジラを危機に陥れることになるだろう。これらのことから、グリーンピースは、日本の票買い行動を監視し、一方で南極海域での「調査捕鯨」を監視し続けていく予定である。