2001年11月7日

グリーンピース・ジャパン
事務局長:志田早苗
担当:福田未来子


第4回・世界貿易機関 (WTO) 閣僚会議
(11月9日~13日ドーハ開催) に対する要請書


1994年12月の創設以来、WTOと環境保護団体との間で、開発と環境について議論が続いています。WTOは、環境法は、貿易法に凌駕されるものでなくてはならないと考える一方、多くの環境保護団体は、貿易法は環境法に従うべきであると考えてきました。グリーンピースは、この議論に積極的に関わり、WTO事務局や加盟国、その他の国際機関に提案を提出し、WTOと環境保護団体の断絶を埋める活動を行ってきました。今回のドーハ会議もまた、例外ではありません。

グリーンピースのWTOへの要請は、簡潔ではありますが、遠大なものです。
WTOが目指すべきものは、国際社会が合意している持続可能な開発(持続可能な経済を維持するための必須条件)を可能にすることです。WTOという機関は、その目標を可能にする機能を発展させなければならないと考えます。WTOは自由貿易の推進を中止すべきです。そして決して貿易すること自体のみを目標とすべきではないのです。このことを念頭に、私達はWTOの加盟国が以下の提案(注1)を検討し、第4回・WTO閣僚会議にて支持することを要求します。

アメリカが気候変動枠組み条約の京都議定書を批准しない限り、自由貿易の新ラウンド(次期多角的貿易交渉)については議論しないこと。

いかなる新ラウンドが始まるにせよ、総合的かつ独立した環境と社会への影響評価を行うこと。

WTOにおける決定は、多国間の環境保護に関する合意を凌駕するものであってはならないこと。

WTOは、いかなる事項を決定する場合にも、科学的でもっとも厳格な手段として「予防原則」を組み入れること。

環境を保護するための貿易規制は、尊重されなければならないこと。

環境保護を基本とした製品、製造プロセスについての区別を明確にすること。

貿易関連知的所有権協定(TRIPS)を見直すこと。生命に占有特許というものは存在すべきではない。

WTO交渉会議へのオブザーバー資格をNGOに与えることを含めて、WTOにおける協議の透明さや公然性をすぐ改善するべきであること。

環境に悪影響を与えている補助金は廃止すること。

WTO加盟国は、自由貿易に関する新ラウンドを設定する代わりに、上記の項目に優先順位をおくべきであると考えます。上記の項目を考慮せずに、WTOの拡大を図る行為は、このドーハ会議を致命的な失敗に追い込むことになります。


以上




注1:グリーンピースの提案の詳細は、以下のURLをご覧ください。

“Safe Trade in the 21st Century: the Doha Edition,” with “The Greening of Doha” in full can be found at :
http://www.greenpeace.org/politics/wto/Doha/html/documents.html
in English, Arabic, French & Spanish.

Greenpeace’s extensive alternative proposals to the Draft Ministerial Declaration
released by the WTO on October 27th 2001 can be found at :
http://www.greenpeace.org/politics/wto/Doha/reports/GPcomments.pdf