【ロンドン発】

23日に始まったIWC国際捕鯨委員会年次総会の第1日目午前、米国とオーストラ リアによって緊急動議があり、今期から再加盟しようとしていたアイスランドの申請 を拒否するという内容が提案され、賛成票19票によって可決された。 この結果、今週27日まで行われるIWC第53回総会の期間中、アイスランド政府 代表団はオブザーバーとして総会に参加する事はできるが、評決には加われないこと が決定した。
この緊急動議は、「再加盟の目的が、当初より商業捕鯨のモラトリアム(一時中止) に異議申し立てをして商業捕鯨に踏み切ろうというものであり、モラトリアムの趣旨 に反する」という理由によるものである。

アイスランドは1992年にIWCを脱退している。その直前まで、アイスランドは 自国周辺海域で「調査捕鯨」と称して捕獲したナガスクジラの肉などを、日本に輸出 していた。当時すでにナガスクジラの商業捕獲は禁止されており、アイスランド産の 鯨肉は非常に高く取引されたという事実がある。今回の再加盟も、「加盟国以外との 鯨肉の取引を禁止する」「決定事項に対しては異議申し立てを行い、遵守しない権利 がある」という決議等を逆手に取り、「再加盟と同時に異議申し立てを行い、捕鯨を 再開し、日本に対して鯨肉を輸出したい」という魂胆が明白な行動であった。おそら くはノルウェーが日本への鯨肉輸出を開始すると発表したことによって、刺激された と考えられる。

捕鯨国であるノルウェーと日本は、アイスランドの再加盟を支援すべく条文の解釈を 弄したが、結果的には、日本が経済援助と引き替えに買った票(東カリブ諸国6カ 国、ギニア、ソロモン、パナマ、以上9カ国)を加えても、可決を妨害することはで きなかった。

しかしながら、日本による票の“買い付け作業”は着々と行われており、予断を許 さない状況が続いていることは事実である。グリーンピースは今後も、各国の動向に 注意し、ロビー活動を展開する予定である。