環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、本日武部農林水産大臣に対し、「日本政府がIWC加盟国に現在誓約している漁業関連及びその他の開発援助計画を最低今後5年間、IWCでの投票の如何に拘わらず遵守する」という内容を、すべてのIWC加盟国に対して7月15日までに文書で言明することを、要請した。

7月23日からロンドンで開催される国際捕鯨委員会(IWC)を控え、日本政府が東カリブ諸国で行っているIWCの「票買い」の事実が明らかになってきており、日本が開発途上国に対し、IWCの票と引き換えに開発ならびに漁業援助として多額の資金を提供しているという指摘が国際社会で高まっている。日本政府は、IWCで日本支持を得るために開発、漁業援助等を活用していることを否定している。しかしドミニカのアサートン・マーチン元環境相が、昨年のIWCで南太平洋海域に鯨のサンクチャリーを創設することに賛成する票を投じようとしたところ、最後になって国から反対票に投票するよう指示があり、IWC開催中に辞任した。自国のIWCでの立場が日本から受ける援助といかに強く結びついているか証言している。グリーンピースは、途上国に対する開発援助は、IWCでの日本政府支持の票を投じるかどうかに左右されるべきではない、と考えている。

東カリブの小国アンティグァ・バーブーダは最近になって、日本からの開発及び漁業援助により多大な恩恵を蒙っており、今年IWC総会では「南太平洋鯨サンクチュアリー」決議案に反対票を投じる旨を公式に発表した。また、ドミニカは実際の投票前にどちらにつくかその立場の表明はしないと発言している。セント・ルシア、セント・ヴィンセント・グレナディン、及びグレナダの各国は、日本支持に投票すると表明している。

今年のIWCでも再び、南太平洋海域に鯨のサンクチャリーを創設が議題の一つとなっているが、このような票買いによって勝ち取った日本支持票が集まれば、南太平洋諸国はその海域にサンクチュアリーを創設するのを阻まれることになる。